落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年11月20日金曜日

関宿道具屋の陣太鼓

江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう

今日の創作小咄#63

歌川広重 東海道五十三次 関本陣早立 

↓ PLAYで千一亭本当が「関宿道具屋の陣太鼓」でご機嫌を伺います


「ご隠居、ここはたいそう賑やかですな」

「おう、真之介、
ここ関宿は伊勢鈴鹿の関、
街道の別れるところだ、
賑やかと言えば、
ここの夏祭りは凄いぞ、
山車(だし)のでかいこと、
屋根目一杯の大きさだ、
だから、よく『関の山』と言うのは
ここから出た言葉だぞ、
ん、
どうした、ニコラス」

「ええ、
ご隠居、
あの店先で、
何か叩いておりますが」

「おう、
あれは、
道具屋だな、
叩いておるのは太鼓かな、
どれどれ、
おやおや、
小僧さん、
太鼓はそんなところをたたいても
いい音は出ないぞ」

「えっ、
たたいてるんじゃないよ、
はたいてるんだよ、
おじさん、買ってくれるかい、
安くしとくよ」

「うむ、
それは陣太鼓だな、
彼のお方の手土産に
ちょうど良いの、
どうかの、真之介」

「そうですね、
たしか、
山鹿流兵法に通じている方と
聞き及びます、
さぞかし喜ばれることでしょう、
あ、
小僧さん、
あの奥にある、
あの大きな太鼓は、
あれはなんだ」

「ああ、
あれは、
うちに6年も
売れ残ってる太鼓で、
火焔太鼓っていいます」

「なるほど、
誰も買えん太鼓か」

「こらこら、真之介、
では、その陣太鼓、
頂くが、その前に、
音を鳴らしてみんとな、
こうゆうのは外人が上手い、
どうも、生まれ持っての感覚が違うのかな、
さ、ニコラス、
ひとつやって見せてくれ」

「はぁ、
いや、陣太鼓は
初めてです、
では、
おお、
これは
この太鼓の大きさからは
考えられない音ですな、
これは、
いったいどうゆう仕組みで
鳴っておるのかな、
どれ、
あー、でかい音だ、
この太鼓というものは、
中身はどうなっておるのかの、
不思議な物だ、
この中身は、
さすがの真之介も知らんだろう、な」

「な、
何を言うか、
そのくらいのこと、
知っておるわ」

「お、知っておると、
太鼓の中身だぞ、
こんなでかい音を出してる物は
いったい、なんなんだ、
何が鳴ってるんだ」

「なな、なにって、
太鼓の中で鳴っておるのは、
太鼓だ」


今日の創作都々逸#94

(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)

交通安全週間だ
風船配る婦警さん
呼ばれていそいそ車を寄せりゃ
信号無視ねと捕まった

(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)

2 件のコメント:

  1. ありゃ?
    しばらくご無沙汰している内に随分と様変わりしちまって・・・。
    ちっと淋しい気もしたが、いやいや楽しそうじゃないかい。
    何よりですなぁ。

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  2. お久しぶりです。
    『ちっと淋しい』というところで、
    そういえば、
    思うところは色々あるのに、
    小咄に夢中だったなと反省しています。思うところも少しく書いていこうと思います。
    今後とも千一亭のホームページともどもご贔屓にして頂ければと思います。

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