江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう
今日の創作小咄#53
歌川広重 東海道五十三次 府中 安倍川
↓ PLAYでは千一亭本当が「府中宿の隠密」でご機嫌を伺います
「ご隠居、ここはずいぶんと
こぢんまりした部屋ですな」
「いやいや、真之介、
襖で仕切ってあるだけだ、
ここは大部屋を
襖でいくつにも
仕切っておるのだ」
「なるほど、
しかし、
ご隠居、
酒の肴には
塩辛いものと
相場が決まっておりますが、
安倍川餅を食べながら、
よく酒が呑めますな」
「なにを言う、真之介、
この甘さが、いいのだ。
ここ駿府の茶店に
大御所様が立ち寄ったところ、
そこの店主がきな粉を
安倍川で取れる砂金に見立て、
つきたてた餅にまぶして、
『安倍川の金な粉餅』
と言って献上したんだ。
大御所様はこれを大層喜んでな、
安倍川にちなんで
安倍川もちと名付けたというぞ」
「へぇ、きな粉餅を
『金な粉餅』とは
うまいこと言ったな、
すると、この
かき玉汁は
なんというかな、
ニコラス」
「かき玉汁か、
はは、
やるな真之介、
それは献上できんから、
安倍川汁にはなれんな。
まったく
真之介にはまいる、
そういえば、
まいるといえば、
隠密易者め、
まいっておったなあ、
が、
ここんとこ、
あの隠密め、
さっぱり姿を見せないが、
どうしたのかな
な、真之介」
「ああ、
居たら居たでうっとうしいが、
居ないとなると、
ちったぁしんぺえになるな。
しかし、
あいつのことだ、
また、きっと、
何かに化けて現れる、
それまでは、
どこかに
隠れとるのだろう、
な、
今度は
何に化けるかな、
ニコラス」
「そうだなぁ、
明日早くなら
坊さんだな」
「ほう、
どうして坊さんだ
ニコラス」
「袈裟着るだろ。
な、
はは、
真之介、
おや、
今、
屁の音がしたぞ、
真之介、
屁こいただろ」
「何を言う、
へなどこいとらん、
すると、
ご隠居」
「おいおい、
酔っぱらいは、
屁などせんぞ、
真之介」
「はぁ、
すると、
三人とも屁をしてないと言うことは、
残るは隠密かな、
この座布団の下なんかに、
間抜けに隠れてたりしてな、
な、ニコラス」
「そうだな、
まあ、
隠れていても、
屁をこいて、
見つかっちまうなんざ、
あいつのやりそうなことだ、
見るからに、
あまえんぼうな顔をしとる、
隠密というより、
あんみつだ。
どこかに隠れておって、
我慢できなくて、
屁をしてしまったんだな。
あんみつはしょうがねぇな。
あっ、
襖が
ガタガタ
いっとるぞ、
隣の奴が暴れとるのかな、
あっ、
あ、
あ、
開いた」
「おい、
さっきから聞いとればなんだ、
あんみつだとお、
冗談じゃない、
隠密は屁などしとらんぞ」
今日の創作都々逸#84
♪
満員電車 女子高生が
オナラしちゃった 言い訳するよ
(隣のおじいさんに、
お身体どこか、
お悪いのですか、
と言うと、
すかさず、おじいさん、言い返した)
ワシのからだが
どこか悪いと
なぜにあんたが
屁をこくの
(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)
こんばんわ☆
返信削除ルッコラと言います。
訪問ありがとうございました。
偶然ですネ、うちに近くには広重美術館があるんですヨ。
落語は、大好きです。
コメントありがとうございます。
返信削除広重美術館には是非一度行ってみたいと思います。
毎日書いていますが、実はほとんどが行ったことのない場所で、ルッコラさんの記事や写真だけでイメージを膨らませているのです。とても有り難いです。
落語ともども、なにとぞ、
これからもよろしくお願いします。