落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2013年8月12日月曜日

気遣いを味わう

暑いです。「猛暑猛暑」とニュースは繰り返しています。涼しいと「冷夏」と言い、どちらも「異常気象」と言われますが、さて、正常な夏の暑さってどんなもんなんだっけと、ハタと考えてしまいました。ん、その「正常」って何。ま、とりあえず考えるとおつむが熱くなるので、ここはひとつ、涼しい雨の日を思うことにします。

そうそう、雨の降る日に細い路で、向こうから傘を差した人が来ます。擦れ違う時に、こっちが傘を軽く傾けると、向こうも軽く傘を傾けてくれると、どこか嬉しいものです。ちょっと小さな挨拶のような。これがそうじゃないと、「あれあれっ」と思ったりします。傘を傾けるのはささやかですけど「気遣い」と言えるでしょう。何かで嬉しくなるとき、気がつくとそこに「気遣い」があるようです。

無理遣りかも知れませんが、落語はそんな「気遣い」を味わう芸能かもしれません。江戸の頃には「傘かしげ」と言って「粋」とされていたようです。「粋って」と何時も悩ましいのですが、どうやら「粋」の意味のひとつに「気遣い」があることは間違いないようです。


先日の「紙兎ロペ」が新旧で大きく作品の質が違うのは、実に「気遣いの味わい」の有無にある気がしています。ロペ君は愚直に気遣います。それに対して、アキラ先輩は一見気遣いの無い傲慢な態度のように見えますが、その実気遣っていることがにじみ出るような構成になっていて、その不器用さに、二人の気遣いぶりに思わず微笑んでしまうのです。

そう、「紙兎ロペ」は正に落語ですね。

そうだ、ロペ君をアキラ先輩が一度だけ「おい、マサ」と呼んだことがあったっけ。あれは本名なのかな。あぁ、それももう知ることは出来ないのか。


0 件のコメント:

コメントを投稿