落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年11月12日木曜日

二川宿清明屋もう一つの密書

江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう


今日の創作小咄#58

歌川広重 東海道五十三次 二川 猿ヶ馬場

 

↓ 千一亭本当が「二川宿清明屋もう一つの密書」でご機嫌を伺います


「ご隠居、ただ今、戻りました」

「おう、真之介、どうだった」

「ええ、ここ清明屋の湯殿は
小さい上に、脱衣場も狭くて、
難渋しましたが、
なんとか隠密の駕籠を
探ってきました。
が、どうにも密書は
見つかりませんでした。
ご隠居の方は」

「うむ、この部屋は隠密の部屋の隣、
間はこの襖一つだからな、
忍び込むのにわけはなかった。
ま、ニコラスの忍びも
なかなかだったぞ」

「えっ、それでか、ニコラス、
さっきからネズミ小僧みたいに
なってるが、もう取っていいんだろ」

「あ、ああ、そうだったな」

「で、首尾は」

「ん、それが、密書のみの字も見つからん」

「そうか、
やはり、いずこへかへ隠したのだな、
どうする、ニコラス」

「ん、真之介、
こんなのはどうだ、
そろそろ寝るという頃に、
ご隠居が、
この襖の近くで、
拙者に、
『これこそが真の密書』
と言う、で、
『盗まれたものは』
と、拙者が聞けば、
『あれは半分、
あれだけでは密書にならん、
ゆえに、
これこそが大切、
また盗まれるといかん、
ニコラス、
その方が抱えて眠れ』
と、ご隠居が、
書き付けたものを
拙者に渡す、
拙者は、
『はい、承知しました、
枕の下に入れて寝ますから、
大丈夫です』
と言うな、
それを、隠密は
この襖の向こうで聞いておるはず、
夜陰に乗じて、
盗むのは必定。
そして、
盗んだ密書を、
件の密書の在りかに隠すはず。
そこを
『見つけたぞ、
やはり隠密だったか』
と言って取り返す。
どうだ、真之介」

「おう、
なかなかに良き考え、
ですな、ご隠居」

「うむ、これは
上手くいくと思うぞ、
隣の奴、
まさに奇策だ、ビックリするだろう、」

「あのう、
隣でさっきから聞いてるんで、
ビックリしませんから。
それと、
キサクじゃねぇんで、
与作っていいます」


今日の創作都々逸#89

今日は彼女と お部屋でデート
そんなときだけ 親から電話
誰か居るのと テレビと言えば
テレビですよと 叫ばれる

(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)

4 件のコメント:

  1. はじめまして、YU~RAと申します
    うちのラッキーの写真を載せていただきましてありがとうございます
    実は私、あまり落語には詳しくありません
    でも1話から覗かせて頂きました
    気の利いたコメントも書けませんが、どうぞよろしくお願いします

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  2. コメントして頂けるだけで、
    もうそれだけで、
    とても十分
    気が利いていまして、
    ありがとうございます。
    1話から読んで頂きまして、
    重ねてありがとうございます。
    どれか一つでも
    笑えたのがあると嬉しいです。
    笑えるところって、
    人それぞれですし、
    体調にもよりますから。
    そう思って、
    思い返すと、
    なにやら、自分で書いて、
    自分で大笑いしていた日は、
    穏やかな日だったなと
    思います。
    そして、
    笑って眠って朝になると、
    間違いなく
    いい朝になるようです。
    そんなことにちょっとでも、
    お役に立てたらと思います。
    これからも、
    ぜひ、聞きに来て下さいね。
    もっと稽古して、
    いつかは上手くなりますから。

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  3. こんばんは
    勝手で申し訳ありませんが、ラッキーのブログにこちらのブログのことを載せさせていただきました
    了解もとらずごめんなさい
    何か不都合がありましたら、ご遠慮なくお知らせ下さい よろしくお願いします

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  4. 日一日と寒くなります。
    直ぐ隣にある、
    千駄ヶ谷鳩の森神社の大銀杏も、
    色付いた葉をさかんに
    落とし始めました。
    今年、家に植えた桂の幼木に、
    なにやら、葉の周りが茶色くなる
    菌が付いたそうで、
    ハート型の葉っぱが
    シナシナになっています。
    それが、今、大銀杏に負けじと、
    一斉に葉を落とし始めました。
    落葉樹はそうやって
    春までお休みして、
    菌ともおさらばするそうです。
    きっと来年は
    可愛いハート型の
    黄色い落ち葉を
    敷き詰めてくれる事と思います。
    積極的に休むのって、
    なかなかできません。
    それで、いつも
    寝不足になってしまいます。
    休むことが守備じゃなくって
    攻撃だってことを
    ついつい忘れてしまいます。
    ここ数日、
    思い切って休んでみました。
    看病していたら、
    自分も休まなくっちゃと
    思ったのです。
    休めたのかは正直言って
    解りませんが、
    休んだということが、
    切っ掛けを作ってくれるような
    気がしています。
    これからも、
    疲れたら休むのではなく、
    疲れるために休んでおくように
    心がけたいと思っています。
     このように、
    採り上げていただきまして、
    あらためて、
    『ブログを始めてよかった』と
    思いました。
    大きな励みになりました。
    いつか「ちょっと」の字が
    消えるように頑張ります。
    ありがとうございます。

    また、お元気になられて、
    リアルラッキーちゃんの
    写真を載せられる日を
    楽しみにしています。
    千一亭本当

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