落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2010年8月4日水曜日

船徳 3 動物園 5

書き込みが滞っていましてすいません。
まずは近況報告です。
7月3日の菅平高原でのラグビーで
右鎖骨を骨折しまして、しばらくラグビーもドラムもできなくなりました。
それだけ落語をやりなさいということなのでしょう。
7月24日、上の写真のように、両国亭の高座に上がりました。
だしものは「動物園」でした。
楽しくできました。
今は「船徳」の稽古をしています。
今日は家でお客に「船徳」をやる時のまくらを考えました。


いっぱいのお運びで有り難く
御礼申し上げます。

初めてお目に掛かるお客様もいらっしゃいます、ね。
わたくし、「志ん諒」と申します。
ここの大家ですが「賃料」ではありません。

大家といえば話のなかでは
長屋の大家さんです。
ですから、話の中じゃここは長屋ですね。

お客さんは長屋に越してきたというわけで、
いま、こうやって集会場に来ているというわけです。

ですから、みなさん、今日の晩ご飯は決まりましたね、
わかりますよね、
そう、ソバです。
あのね、
好きな人と一緒に月見ソバを食べるときはね、
白身は入れないんですよ、
君だけ。

これね、アメリカやヨーロッパには落語みたいな
演芸は無いんです。
漫談はありますよ、
一人芝居もある、
でも落語は無いんです。

不思議でしょ、
考えましたよ、
えー、コウモリみたいにね、
夜も寝ませんよ、
ずーっと考える、
でも昼間はねる。

たどり着いたのが、
世界が違うということです。

落語はね、そのほとんどが、
今の東京の、これまた神田の辺りを中心とする
セマーイ一角の話です。
そのまた三間長屋なんていう、
セマーイセマーイ世界なんです。

そこにたくさんの人がズーット暮らしていた。
ホントに暮らしてたんです、ね。

士農工商というなかで、
貧しいけれど楽しく豊かに暮らしていた。

それはね、みんな仲間だったからなんです。
隣近所がみんな、血の通った温かい仲間なんです、ね。
壁が薄くて、隣の屁に「うるせえ」って文句を言うような、
そんな暮らしでも、温かい仲間だから、楽しい毎日だったんです。
落語の世界とは温かい仲間達の世界です。

ですから、今、ここに、
この長屋に引っ越して、
こうしてここに集まっているみなさんは、
あたしもそうですが、
みんな落語が大好き、

それは、みんな、
そういった温かい仲間達の世界が好き、ね、
心の底に、そんな温かいものが流れているってことです。

あたしがこうやって出てくる、
お客様がお集まりになる、
もう、あたしも、お客様も、お客様同士も
みんな仲間です。

どうぞ、
あとしばらくのシンボウで、
あたしの話も終わりましたら、
そのあとは、
ご近所づきあいです、ね、
仲間です、
どうぞあたしの落語をおかずに、
ワイワイやりましょう。
そしてね、
ココが大事です、
次回も忘れずに聞きに来て下さい、ね。

そりゃそうです、
みなさんはね
長屋の住人なんですから
定期的に、
大家には納めなければなりませんよ、
「賃料」をね。
あ、お金じゃないですよ、
「志ん諒」ですよ、
えっ、もう忘れた、
もう、憶えてね。

ま、
こういった長屋、
今時分のように暑い盛りには、
涼を求めましていろいろと工夫をしました。

うちわ、打ち水、風鈴とね、
でも、一番は川べりに行くことでした。

ことに船はいいですね。
でもこれが、
今でも船は贅沢なモノです。

いろいろな所へ船で行く、
ズーットね、世界中を廻る、
もうこりゃ、
大変贅沢なモノです。

江戸の頃にも
この船遊びというのは
盛んに行われておりまして、
俗に、「チョキでションベン千両」
なんてなことを申します。
これ・・・・・

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