落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年9月30日水曜日

十五夜の団子

今日の創作小咄#24

「ニコラス、
先に湯を使って悪いな、
そのうえ、
釜焚きまでさせちゃって」

「いいんだ真之介、
それより、
どうだった
お花ちゃんとは
うまくいったか」

「いいや、
お友達として、
なんて、
くぎ刺されちゃった、
へこんだなぁ」

「腹か」

「腹じゃないよ
へこんだってのは
気持ちが沈んだって事、
もう、
沈んじまって
沈んじまって」

「そりゃ、
まさに、
未練たらたら、
うかばれないってやつだな、
でもな、
気にするな、
オナゴはみな
気のない素振りを
するものだ、
これからだ、
真之介、
どうだ、
湯かげんは」

「ちょっと熱いな」

「そうだろ、
さっきから、
熱くしとるのだ」

「おいおい
ニコラス、
なんで熱くするんだよ」

「いや、
なに、
今日の昼、
お花ちゃんのお母上が
十五夜だとかで、
団子を作っておられてな、
拝見しとったのだが、
この、団子という物、
鍋に入れると、
すぐに沈んでしまうのだが、
鍋を熱くしていくと、
やおら浮き上がって
来るではないか、
だからな、
沈んでいる真之介が
浮かんでくるようにと
頑張って
薪をくべておる」

「ニコラス、
オレは団子じゃないぞ」

「なに、
お友達としてだなんて
くしを刺されるたあ、
団子の他にあるまい」

今日の創作都々逸#54

苦死をも一緒と 団子になれど
蜜だけなめらりゃ しらけます
   

2009年9月29日火曜日

初茶屋

今日の創作小咄#23

「お花ちゃん、先に座って」

「そんな、真之介様が先に」

「いや、
ニコラスが言っていたのだが、
オランダ式では
紳士の作法というものがあって、
なんでも、
女性が先に
するものらしいのだ」。

「そうなんですか、
では遠慮無く、
お先に座らせて
いただきます」。

「で、お花ちゃん、
何をたべようか」

「真之介様は」

「ほーら、
それは日本式、
オランダ式だよ。
お花ちゃんが決めていいんだよ」。

「そうですね、
田楽は甘いから、
後での方がいいかしら、
なにか、
あ、
サザエがあるわ、
真之介様の大好物だもの、
サザエにしましょ、
いい、
すいません、
あ、
板前さん、
サザエください」。

「へい、
サザエですね、
こんなこと言っちゃ
申し訳ございませんが、
実は今日は
早じまいでして、
このサザエ、
残っても
捨てるだけなんで、
よかったら
みんな召し上がっていただけると
ありがたいんですが、
いえ、
お代は
一人前でけっこうですので」。

「あら、板前さん、
たくさんあるんですか、
真之介様、
どうしましょ」

「お花ちゃんの
好きにしていいんだよ、
ボクたちは、
オランダ式で言うところの
紳士と淑女なんだから」。

「それじゃ、
真之介様、
なかよく、
半分半分にして
食べませんこと」

「うん、
いいね、
そうしよう」。

「板前さん、
そっち行っていいかしら、
たくさんあるんなら、
運ぶのお手伝いしますわ」

「へい、
さいですか、
あいすいません」。

「花ちゃん、
まだかい、
手伝おうか」

「大丈夫、
真之介様、
できたわ、
お皿いっぱいに
なっちゃった。

はい、
真之介様、
半分半分にしてきたわ、

こっちが、
私の、

で、
こっちが、
真之介様の
大好物」。

「えっ、
こっちって、
こっちは
みんな
ワタだけだよ」。

今日の創作都々逸#53

半分半分 なかよくわける
ほんになかよきゃ わけやせぬ
   

2009年9月28日月曜日

紳士の作法

今日の創作小咄#22

「ニコラス、話があるんだ」

「なんだい真之介、あらたまって」

「いや、他でもない、
お花ちゃんを今度できた
水茶屋に誘おうと思うんだか、
ついては、そのほうも、
一緒にいかがかと思ってな」

「ん、真之介はお花ちゃんを
好いておるのか」

「な、何を言う、
好いておるなどと、
口に出すなどは
武士の恥じゃ」

「あはは、
そんなことは
オランダでは
あたりまえ、
いや、
そうしないほうが
変人だぞ、
されば
真之介、お花ちゃんと
二人で水茶屋に行け」。

「いかん、
いきなり、
そのような、
二人で行くから
来いなどと、
そんなあつかましいことは
できぬわ」。

「そこがダメ。
ダメ。
行くから来いじゃダメ」。

「何がダメじゃ」。

「それが日本式なんだろうが、
日本式ではオナゴの心は
掴めぬぞ、
オランダ式は全く違うからな」。

「そんなに違うのか」。

「ああ違う、
オランダと日本とは
三千里も離れているんだからな」。

「なになに、
なんなんだ、
そのオランダ式ってのは、
教えてくれよ」

「教えてやらなくもない」

「なんだよ、
そうか、
わかったよ、
そうだ、
父上が
伊勢の檜の風呂桶に
替えたばかり、
それはいい香りだぞ、
湯を使ってかまわぬ故、
教えてくれ」。

「日本人は
なんでも男子が先だ、
座るのも立つのも
なんでもだ。

オランダ式は
なんでも
女子を先にする、
女子に決めさせる、
それが
紳士の作法
というものだ。

自慢じゃないが、
その点においても、
オランダは
西欧隣国より
進んでおる」。

「それはめんどうじゃ、
オナゴに決めさせてみろ、
やれ、となりがとか、
やれ、お向かいがとか
うるさくてかなわん、
オナゴになど任せてはおけん」。

「そこだ、今の日本は
そうゆう男ばかりだ、
その中で真之介だけが、
お花ちゃんのことを
第一に考えてやれば、
どうだ。
お花ちゃんにしてみれば
こんな嬉しいことはあるまい、
真之介様とか言って、
いちのコロに違いないぞ」

「なに、違いないか」

「ああ、違いない」

「なるほど、
オランダにも
一理あるな」

「いいや、
違う、
三千里ある」。


今日の創作都々逸#52

電話見つめて TELTEL坊主
明日は電話を しておくれ

2009年9月25日金曜日

ニコラス君

今日の創作小咄#21

「お母様、
こちら、
真之介君のお友達で
ニコラス君、
オランダから
来られたのよ」

「はじめまして」

「あらまあ、
ずいぶん日本語が
お上手なのね。」

「いいえ
多くないです」

「そうね、
言葉は少ない方が
男らしいわよ
お父様は
何なさっているの」

「オランダ大使です」

「あらまあ、
大したものねえ」

「はい、
大したものです」

「日本はどう、慣れたかしら」

「外人外人て言われます」

「そりゃそうでしょうけど
外人さんて言えば、
いつも威張ってられるでしょ」

「いいえ、
そんなことないです
とっても
肩幅狭いです」

今日の創作都々逸#51

目と目が通えば そのうちいつか
日に日に通うよ その家に
  

2009年9月24日木曜日

サザエのワタ

今日の創作小咄#20

「真之介様、
このサザエの壺焼きは
お母様の得意料理ですの」

「あら、
お花ちゃん
得意料理だなんて、
焼いただけですから、
どうぞ召し上がって、
お好きですか」

「はあ、
ええ、
もちろん、
大好きです、
ですが、
この、
うわっ、
すごい
大きなワタが
ついてきました
これをと、
外して、
あ、
うん、
うまい、
美味しいです」。

「あら、
お花ちゃん
お醤油とって差し上げて
おや、
真之介様は
美味しいものは
最後に食べるほうなのね、
また、
よく知ってらっしゃるわねぇ、
サザエは
ワタが
一番美味しいのよね」

「あ、
はい、
そのとおりで
ございます。
ワタが、
ええ、
身と一緒だと、
ですが、
ワタだけで食べるというのも、
これが
じつに、
う、
う、
うー、
うまい」

「あらまあ、
気に入っていただけて
よかったわ、
お花ちゃん、
もう一つ差し上げて、
さ、さ、
ご遠慮なさらずに」

「あ、
はい、
恐れ入ります、
あ、
これが、
貝から出すのが
一苦労でして、
ああ、
途中で
引っかかりますね
引っかかるなあこれは、
あ、
切れますよ
切れるなあ
切れちゃう
切れました
なので、
身だけ
頂きます」

「あら、
そう、
ちょっといいかしら、
どれどれ、
こう、
ね、
引っ込んじゃうと
取れないのよね、
こうゆうのはね、
ゆっくり
回してあげると、ね。
はい、
取れましたよ、
うん、
美味しそうね」

「はあ、
どうも、
恐れ入ります、
やはりこの、
ワタだけでというのも、
はあ、
おつでございます。
この、
なんといいましょうか、
口の中が
きゅっと小さくなって
なくなっちゃうんじゃないかって
くらいの、
なんですね」

「あら、もしかして、お嫌い」

「い、
いえ、
いえいえ、
とんでもない、
ワタがなけりゃ
ほしいくらいで」

「そう、じゃ、
こちらに、
花ちゃんが残した
ワタが
たくさんありますから
召し上がって」

「えっ、
花ちゃん
ワタ食べてないの、
こんなに
ワタばっかり
ふえても、
なぁ、
花ちゃん」

「いいえ、
綿は
欲したら
膨らみます」

今日の創作都々逸#50

ちょいとつっつきゃ
 ぴたりと閉じて
命かけてる 貝がない
   

今日の創作小咄#19

「大家さん、
ちょうどいいところに来た」

「なんだい、
熊さん、
ひさしぶりだね、
手ぬぐい持って、
湯行くのかい」

「そうなんだけど、
こないだ
祭りの競争で、
うちの長屋からは
オレと辰公が
出たんだけどね、
同時だったんだ。
勝ち負けなしってやつでね、

で、辰公の奴が
どっちが早いか
はっきりしようぜって、
ことになったんだが、
これが、
勝負がつかねぇんだ。
いっつも同時。

で、
大家さんに
どっちがはえぇか
決めてもらおうと思ってね、

大家と言えば親同然、
店子と言えば子も同然
て言うよ、

オレも辰の野郎も、
大家さんに
決めてもらうんなら
文句はねぇんだ」

「おやおや、
そんなことかい、
そうだねぇ、
どうだい、
熊さんは
このあと
どこに帰る」

「どこに帰るって、家だよ」

「では、ここからだったら、
競争するとして、
どこら辺りまで走る」

「そうさね、
お稲荷様ぐらいかな」

「じゃ、そこまで競争して、
勝負がつかなかったとするな。
すると、次はどこまで走る」

「えっ、旦那寺かな」

「では、そこまで行っても、
勝負がつかないときは」

「両国橋かな」

「そこでも
勝負がつかないときは」

「そんな、
両国橋までいったら、
すぐ家だ、
着いちまわあ」

「辰の家にか」

「いや、
オレの家だよ」

「そうだろ、
最後に
帰るのは
自分の家だ、
辰の家じゃないな」

「あたりめえだ」

「かように、
人は皆、
行き先は
それぞれ
ちがうもの

だからな、
どっちが先だ後だなど、
全く意味がない。

大切なのは
行き先に
キチンと
着くことだ
競争など無意味」。

「さすが
大家さんは
言うことが
違わぁ
わかりあした、
どぅも

へへっ、
その通りだよなぁ
まったくだ、
あっ、
またちょうどいいところに
辰の野郎だ」

「おい、熊、
おめえも
湯行くのか」

「辰っちゃん、
お前もかい、
ちょうどよかった
あのな」

「おぅ、話は
勝負してからにしようぜ、
今日こそは
ハッキリさせようぜ、
湯まで競争だ」

「いや、
だからさ、
無意味なの、
無意味、
無意味。

辰っちゃん、
人は皆、
行き先は
違うんだよ」

「一緒だろ、
湯行くんだろ」


今日の創作都々逸#49

追えばにげるし 逃げれば追うし
ちょいと休めば 忘れられ

2009年9月23日水曜日

イカの煮付け

今日の創作小咄#18

「あらら、お米がないわ、
おまえさん、買ってきとくれよ」

「いやだよ、
こないだ搗き方がどうとかいってただろ、
行ってこいよ、
留守番しとくから」

「そうかい、
じゃ、
この煮物やっといとくれな」

「へっついなら任せとけ」

「あら、頼もしいわね
じゃあ、
イカは切ってあるし、
里芋もショウガも
用意してあるからね、
まず、イカを
このお酒で煮るの、
このショウガも入れてね
で、赤くなったら、
この里芋を入れて、
みりんと醤油で
味見しながら、
煮付けといて」

「おいおい、
酒で煮付けるのかよ、
もったいねえな」

「何言ってるの、
ちょっとでも水とか
出汁とかいれてごらんな、
イカ臭くなっちゃうんだからね、
じゃ、
行ってくるからね」

「いっちゃったよ、
なになに、
この酒かい、
たっぷりあるねぇ
え、
そだ、
味見しながらって
言ってやがったな、
どれ、
まずは
こいつの味見と、

うーん、
うめえ、
なんだよ、
こうゆう美味いのは
煮付けちゃダメだ
燗付けるんだ

どうだい、
こやって、
鍋に少しずつ入れてよ
あったまったら、
お口の中へと
ご案内だ

え、
こうすりゃ、
イカもゆだるし、
燗も付くってわけだ、
こいつあ
いいや、

うーん、
うめえ、
イカといっしょに
赤くなっちゃったぁ、
へへへ」

「ただいま、
おや、
おまえさん
酔っぱらってるね」

「なんだよぉ」

「さては
イカに入れる酒、
全部呑んだんだろ」

「ん、だよぉ、
水臭せえこと言うない」

「臭いのはイカだよ」


今日の創作都々逸#48

鍋かこみ
あっちもこっちも 箸先つけりゃ
二妻らないよに 水さされ 

男友達との夜

今日の創作小咄#17

「あら、
お母様、
どうしたの」

「どうしたのじゃありませんよ、
お花ちゃん、
いい人ができたんなら、
ちゃんと紹介しなさいな、
黙って、
男友達を
部屋に入れちゃダメよ、
そのうえ、
あんなに遅くまで、
お花ちゃんは
まだ知らないでしょうけど、
男の人はね、
狼なのよ、
だから、
夜中になると、
こわいのよ、
だから、
もっと早く、
帰ってもらいなさい、
いいわね、
もっと早く」

「えっ、早くって、なに」

「なにじゃないの、
昨日夜更けに
あたしが
手水に立ったら、
お花ちゃんの
部屋から
男の子が出てきたじゃない、
ビックリしちゃって、
どうしようとかと
思ったけど、
まだ紹介もされていないのに、
初対面が
はばかりの前じゃと思って、
はばかりの戸の隙間から
こっそり見てたのよ」

「えっ、そんな人居ないわ。
誰か来たって、
ほんとう、
たいへん、
あ、
ちょっと待って」

「ほら、
まったく、
隅に置けないんだから、
でも、なかなか、
今時の男の子って感じで、
いい子じゃない、
どちらさんなの」

「いい子じゃないの
どろぼうさんなの
腰巻き取られたの」

今日の創作都々逸#47

男は狼 女は羊
みたいに見えても かぶりもの
    

2009年9月22日火曜日

言い出しっぺ

今日の創作小咄#16

「父ちゃん
だっこしとくれよぉ」

「まったく、
だっこしろたあ、
ほんとに
おめえは
だだっこだなあ、
金坊を
だっこしたって、
一文にも
ならねえんだぞ」

「だから
ただっこって
言うんだい、
もう、
だだっこでも
いいから
だっこしとくれよ」

「さては
歩くのめんどくさく
なりやがったな、
まったく、
わかったよ、
でも、
もうおっきくなったんだから、
だっこは無理だな、
おんぶだ、
乗りな、
どれ、
おいおい、
ずいぶんと
重くなりやがったなぁ」

「あ、父ちゃん、
そういえば
こないださ、
みんなで遊んでいたら、
急に臭くなったんだ。

そしたら、
乾物屋とこの
いっちゃんが
だれだよ屁したの
って言い出して、
みんなで
誰誰ってことに
なったら、
そのいっちゃんが
屁してたんだ」

「たいてい
そういうもんだ、
だから、
言い出しっ屁なんて
言うんだぞ。

あれっ、
なんか臭いぞ、
おやっ、
なんだ、
あ、
さては

そんなこと言いながら、
金坊、
おまえ、
屁こいたな」

「いいや、
違う、
父ちゃんだ」

「なにおっ」

「だって、
言い出しっ屁だ」


今日の創作都々逸#46

なかいいが
なかなか会えない せなかとおなか
わきに目をやりゃ すぐいっしょ
  

2009年9月21日月曜日

朝帰り

今日の創作小咄#15

旦那が酔っぱらって
朝帰りです

「おい、
うっ、
んー、
なに
やってるんだ

え、
けえったぞお、
お殿様の
お帰りだあ、
こらあ、

ん、
ただいまぁ、
ただいまあ、
おい、
聞こえねえのかぁ、

た・ら・い・わ」


「洗濯に使ってるよ、
足なら外であらっといで」


今日の創作都々逸#45

世の中で
やっぱりおまえと 選択されて
今度はあたしが 洗う晩
   

2009年9月20日日曜日

温泉

今日の創作小咄#14

「どれどれ、
温泉、温泉と、
おっ、
誰も入ってないぞ
貸し切りだね
ありがてえ、
さてと、
金の入った胴巻きは
盗まれちゃいけねえから
そうだ、
かごの下に
隠しとこ、
さぁーて、
入るか、
うわっ、
湯気で先が見えねえや」

「へへへっ、
おっ、
入っているのは
一人だけかい
ま、
その方がやりやすいや、
♪かごのなあかを
拝見しまあすよと
あれ、
ないね、
胴巻き
持って入っちゃ
いないだろうし、
さては
どこかに
隠しやがったな」

「おい、
そこで
何やってるんだ
人の荷物
漁りやがって」

「えっ、
あ、
いえいえ、
ちょいと
捜し物でして」

「捜し物だとお、
ふざけたこと
言いやがって、
何捜してるんだ」

「あ、
お、
女湯なんですが」

「なにおぅ、
女湯はな、
そこ出りゃ
すぐ隣だ」

今日の創作都々逸#44

ちょっとだからと 脚だけ浸けりゃ
いつのまにやら ほっかほか
  

2009年9月19日土曜日

引っ越し

今日の創作小咄#13

「ご隠居」

「めずらしいね若旦那
どうした」

「ふられたんで」

「おやおや、
なにがあった」

「そこに出来た
水茶屋の娘さ、
これがいい女、
一目惚れしちゃってさ、
思い切って、
直ぐソバに越しちゃった。
で、そのことを言ったんだ、
じゃ、一緒に住もうか
なんてことになるかと思ったら、
おこっちゃったんだ、
寝言は寝ながら言ってくれ
って言われてね」

「えっ、引っ越したのかい」

「まあ」

「おやおや、
つきあってたのか」

「いや、
3回店に行っただけ」

「じゃあ、
無理もないだろ、
馴染みでもないのに
越してこられたら、
それゃ嫌われるよ。
いいこと
教えよう。
そいつは、
順番が逆だな。」

「逆って」

「そういうのはな、
まず、
それとなく、
女の住んでる町を聞くな、
女が教えてくれりゃぁ
それでいいんだが、
これがなかなか
教えてくれない、
ま、そうゆう娘のほうが
いい娘ってもんだ。

そしたら、
話は変わるが
おれは信心を欠かさないんだ
と言って、
ところでお寺さんはどこだい
とこう聞くな、

すると、
家を聞かれたんじゃないから
女は安心して
どこどこよ
なんてなことを言う

そしたら
すかさず、
おいおい、
そいつは偶然だ、
じゃ、お隣さんじゃないか
と言っといて、

さっさと
そこに
引っ越しちまえばいいんだ」

「へーっ、
なるほど、
わかりあした
じゃ、
さっそく、
どうも」

「あ、
これこれ」

「へへっ、
さすがご隠居だなあ、
言うこたあ現役はだしだ
よっぽど
若い頃
遊んでたんだなあ
おっと、
また新しい水茶屋だ
よしっ、
ここにしよう、
ごめんよ」

「いらっしゃいませ、
おせんと申します」

「おせんちゃんかい、
住まいはどこだい」

「それはヒミツです」

「あはは、
話は変わるが、
おれは信心を欠かさないんだ
ところで、
おせんちゃんの
お寺さんは
どこだい」

「新勝寺です」

「おいおい、
それは偶然だ、
じゃ、お隣さんじゃないか
オレの家は新勝寺の隣なんだ」

「あら、
そうなの
偶然ね、
近くなんだね
すると、
お前さんちは、
ずいぶん遠いんだねえ
これから帰るのかい
いいねえ」

「遠くない、
お隣だ、
直ぐ近くだろ」

「そうね、
直ぐ隣ね、
いいねえ
帰れて。
あたしなんかの脚じゃ
成田は遠いから、
めったに帰れないの
実家には」

今日の創作都々逸#43

引っ越し挨拶 となりにいけば
仲良く引っ越し ソバで食う
   

2009年9月18日金曜日

泥棒

今日の創作小咄#12

「泥棒さん、
待って下さい」

「冗談じゃねぇやい、
待てと言われて
待つ奴があるかい」

「忘れ物
なんです」

「なにぃ、
どれ、
なんだい」

「お縄です」

今日の創作都々逸#42

一目で盗まれ 追いかけ逃し
勘違いかと 空を見る
  

お買い物

今日の創作小咄#11

「おう、文鎮あるかい」

「へい、いらっしゃいまし、
こちらに」

「おう、
そこの
でかいエビス様の文鎮、
それ、
いくらだ」

「ありがとうぞんじます、
98銭でございます」

「おっ、安いな、
気に入った、
ひとつもらうぞ、
じゃ、
ほら、
一円札だ」

「では、お釣りを」

「いいんだ、
いいんだ
とっときな」

「ありがとうぞんじます
また、
おいでくださいまし」

「おう、またな」

「あっ、お客様、
お品物」

「いいんだ、
いいんだ
とっときな」

今日の創作都々逸#41

またされても
会えりゃあめでたい 松竹梅 
待つだけ梅えと 酒といい

 

2009年9月15日火曜日

この世をば

10月3日稽古会のチラシが
できました。
EVENTにありますので、
ご覧いただければと思います。

今日の創作小咄#10

10月3日です。
急ぎ脚の二人です。

「おまえさん、
今日の圓窓師匠の
誕生会、
もうみんな
集まってるかねえ」

「おう、
しかも、
今年は
10月3日が
十五夜なんだぜ」

「そうなの、
十五夜ね、
満月か、
望月だね
しゃれて、
そこの
うどん屋で
餅でも食べるかい」

「そんなひまは
ないよ、
まだまだ師匠の家は
遠いんだ、
遅れてるくらいなんだから
駆けていくぞ」

「カケちゃダメだよ、
今日は
十五夜
望月の
欠けたることも
なしと思へば

だからね
歩いて行こうよ
遠いんだ」

「道長か」

なんて感心してたりしてます。

今日の創作都々逸#40

一人見上げる 十五夜ウサギ
ついているのは やきもちよ
 

2009年9月14日月曜日

水族館見物

今日の創作小咄#9

今日は、
ブーフーウーの三人、
お母さんに連れられて、
水族館見物でした。

「おかあさん、
きれいだった」

「そうねウーチャン、
で、
何がきれいだった」

「うん、
クマノミ」

「どうして」

「良く合ってるんだ、
イソギンチャクに」

「かわいかったよねえ、
そう、
フーちゃんは
何がよかったんだい」

「うーん、
ヒラメ」

「ヒラメねぇ、
何に合ってるの」

「白い砂」

「そうだねえ、
砂から、
目だけ出てたのに、
突然飛び出して、
びっくりしたよねえ、
で、
ブーちゃんは
何がよかったの」

「タイ」

「タイねぇ、
何に合ってるの」

「わさび醤油」

今日の創作都々逸#39

ブーブーと
文句もおかずに しあわせ太り
トントン音する 朝げ時
   

鯉のぼり

今日の創作小咄#8

「おいおい、そこの浅黄裏」

「なにおっ、
田舎もんだと思って
ばかにしやがってえ、
江戸なんてえのは
江戸っ子とか言ってるが
しょせん、
田舎もんの集まりよ。」

「そんなこたぁねえ
江戸っ子てのはあるんだ
昔から言うよ
江戸っ子は五月の鯉の吹き流し
口先ばかりではらわたはなし、
てな」

「なんだとお、
五月の鯉の吹き流しだあ、
だから
田舎もんの集まりだってんだよ。
そうだろう、
なあ、
おのぼりさん。」

今日の創作都々逸#38

よしなよと
世間の風に 冷たく吹かれ
たなびく二人は こいのぼり
 

2009年9月12日土曜日

遊山船

今日の創作小咄#7

「吹けよ川風、
上がれよ簾、
中の小唄の顔みたや」
なんて言いまして、
屋根船なんかに、
障子を立てて、
簾を下げて、
二つ枕で小唄の稽古なんてんで、
訳知りの船頭に
酒手はずんで
遊山船(ゆざんせん)です。
揺れてばかりは嫌だと言って、
ちょいと岸で
落ち着きましょうと、
たのまれ、
水辺に繋ぎます。

「おまえさん、
どうなんだい、
大丈夫なのかい」

「ここまでくりゃ
しんぺえねえ、
駆け落ちは成功でえ、
まさか船とは思わねえだろ」

「そうかねぇ、
このまま
ずうっと行くったって、
あの船頭になにかあったら
どうするんだい」

「まかせとけよ、
オレはな、
これでも、
ちよっと前じゃ、
船頭の船徳といやぁ、
船宿界隈で
知らねえもなあ
いなかったんだ」

「えっ、おまえさん
船頭だったのかい」

「そうよ、
海に出ちまえば
こっちのもんだ」

「えっ、
だめだよ
船頭が二人もいたら
山に登っちまうよ」

今日の創作都々逸#37

すねられて
水に映った おこった顔は
ほんとの顔の 裏返し
 

2009年9月11日金曜日

高下駄

今日の創作小咄#6

「お客人、いけませんや、
たった今、川止めです」

「えっ、そんな、
急いでいるんだ、
こいつは
お上に献上の品だ、
たった今ならいいだろ、
なんとかやってくれ、
酒手ははずむ
無理とあらば
品だけでもよい、
一刻も早く
届けねばならんのだ」

「たいそう大きなもんですが、
お品はいったい
何でごぜえますか」

「京の辻屋の
桐の高下駄だ、
十分な数を揃えておる」

「いやぁ、お役人が
おりますから、
だめですよ、
昨日までの雨で、
もう水は
胸まで来ちゃって
ますからね」

「うむ、
そう言うな、
じゃ、
胸まで来てなきゃ
いいんだな、
よしっ、
この高下駄を
一つ、
その方に預ける、
履いて渡れば
水は胸まで
こないだろ」

「そりゃあ、
だめです、
いけませんや、
そんな
高い下駄預けた日にゃ
必ず流れてしまいます」

今日の創作都々逸#36

冷たいと 
涙ばかりが たまっていけば
いつか別れと 流される

タヌキとキツネ

今日はNHK文化センターの
「圓窓の落語指南」の
第2期発表会でした。
皆さん充足感に満ちたお顔で
帰られました。
よかった。

今日の創作小咄#5

「見かけねぇ顔だ、
でかい眼鏡かけとるが、
よそからきたのかい」

「ええ、今日来たばかりなんです」

「ほうか、で、
あんたはタヌキかい、キツネかい」

「といいますと」

「なにいってるだ、
みんな、
どっちかが化けたものに
きまってるだ」

「じゃみなさん、
タヌキさんかキツネさんで」

「いや、そうじゃないのもいるが、
すぐにわかる」

「しっぽが出てる」

「いやいや、ちがう、
目がでかいんだ、
ドンブリまなこだよ」

今日の創作都々逸#35

おまえタヌキか 色白うどん
オレはキツネだ 蕎麦がいい

2009年9月9日水曜日

ついてない

今日の創作小咄#4

「おいおい、
ついてないって
ついてないって
なんだよ」

「だって、
ずっと
ついてないんだもの」

「なにいってんだ、
ずっと、
ついてきてるくせに」


今日の創作都々逸#34

どろんこまみれの 初雪だるま
暖め溶かされ 真っ白よ

掃除屋

今日、師匠から教わった
「らくがき」についての
小咄の筋に沿って、
小咄を作ってみました。

今日の創作小咄#3

「花屋さん、この植え込みも、
犬のオシッコかかってますから、
掃除しときますね」

「いやあ、助かるよ、
あんたが今度町内会で
雇ったっていうお掃除屋さんかい」

「ええ、そうです」

「困ってたんだよ、
気がつくと、
そこらじゅう犬のオシッコだらけなんだよ、
夜も来て貰えるといいんだけどねえ」

「あー、すいません、
お昼の今時分だけなんですよ」

「そう、残念だなあ、
夜は別のお仕事なのかい」

「ええ、ここらで犬の散歩をしています」


今日の創作都々逸#33

ふたりはいつも 天秤ばかり
乗せちゃ揺られて 釣り合って

2009年9月8日火曜日

終点

今日も創作小咄#2。

「終点だってのに、
あーあ、
すっかり寝込んじゃってるよ、
お客さん、
お客さん、
着きましたよ、
新宿ですよ、
新宿」

「うーっ、
あっ、
なになに新宿、
あれっ、
まだ発車しないのかい」

今日の創作都々逸#32

何をしてると うたぐるまえに
別れたいのか  考える

2009年9月7日月曜日

絹ごし豆腐

今日は創作小咄をひとつ。

「最近はね、
ザル豆腐とか、寄せ豆腐とか、
コジャレた豆腐ばかりが売れるんで、
絹ごしなんてのは撤去だって。」

「そりゃあ、
きぬどおふなことをしたなぁ。」

今日の創作都々逸#31

あられもないと 言うならすぐに
せんべい布団を かけてくれ

2009年9月6日日曜日

落語は心の2

昨日の続きで退屈だと思いますが、
今しばらくおつきあい
いただければ幸いです。

心を構築している要素の主役は
記憶と記憶の持つ関係性だと仮定して、
落語の表現を考えたときに、
この記憶と記憶の持つ関係性とで、
落語が成り立つというところから、
落語は「心」の表現であって、
「落語は心そのもの」なんだと
言いました。

ここでは、その中の、
「落語の表現を考えたときに、
この記憶と記憶の持つ関係性とで、
落語が成り立つというところ」
の話をしたいと思います。

そもそも、
落語は一人芝居と違うのです。
そのことは多くの人の言葉にも
あるようです。
ここでは、その違いについての
実例からの考察は
多くの人たちの仕事に委ねるとします。

落語を師匠から、
あるいは他の何ものかから学ぶとき、
それは記憶として残ります。
そして、それは、
その記憶の関係性という情報と共に
残るのですが、この情報は、
師匠やそのほかの何ものかから
得るものではなく、
記憶する本人によって
記憶に付加される情報なのです。

落語は、実はその大部分が、
この記憶する本人によって
記憶に付加される情報、
すなわち記憶の関係性から
出来ているのです。

そのことがいわゆる
登場人物を演じる事を目的とする
一人芝居と大きく異なる
ところなのです。

落語は同じ話でも
演者によって全く違うものになります。
芝居で役者が変わる以上に
落語は演者が変わると
噺自体が別物と言っていいほど
変わります。

それは、演劇における台本のような
台詞や筋書きという部分が、
落語全体の中で
いかに小さなものであるかを
物語っています。

落語のもっとも大きな部分、
それは正に
演者自身の心なのです。

一人芝居は、
登場人物が役者を借りて
語るものですが、
落語は
演者の心が登場人物を借りて
語るものなのです。

と、思います。

落語の善し悪しはきっと、
そこに心があるかないか
ということなのかもしれません。

今日の創作都々逸#30

言葉なくとも その目でわかる
黙ってオレに ついてこい

(言ってみたいな そんなこと)

2009年9月5日土曜日

落語は心

落語を憶えることを通して、
記憶ってものをどう考えたら
いいのかなと思いました。

ノートに書き記していく作業とは
明らかに違います。
どちらかというと、
絵を描いていく作業に
近い気がします。

「記憶の断片を辿る」という
言い方をしますが、
それは、記憶が曖昧になっていても、
記憶のそれぞれは、
記憶そのものに、
他の記憶との関係性の情報を
含んでいるということです。

その関係性の情報こそが、
その人の人柄や行動の規範を
作っているものだと思うのです。

そう、記憶の場のイメージとしては、
記憶が集積回路の様に
一面に敷き詰められた空間です。

そして、その空間に
その記憶やその他のものから
映し出されている無数の光から
作られる映像のようなもの、
それが「心」ではないかと思うのです。

つまり、
心とは記憶と記憶の持つ関係性と
その他諸々のものとが
織りなすものと言えるでしょう。

その他諸々のものとは、
身体であったり、
環境であったり、
他者であったり、
時間であったりと、
実に様々なものが考えられます。

しかし、主役は
記憶と記憶の持つ関係性
だと思うのです。

落語の表現は、
この記憶と記憶の持つ関係性とで
成り立っています。
つまり、落語は「心」の表現と
言えるでしょう。

「落語は心」なんだと思います。

今日の創作都々逸#29
♪ 
失望希望は 表と裏よ
ひらひら舞散る 同じ紙

2009年9月4日金曜日

エビちゃん

恵比寿様
古くは「大漁追福」の漁業の神であり
時代と共に福の神として
「商売繁盛」や「五穀豊穣」をもたらす、
商業や農業の神。
七福神の一員として
日本古来の唯一の福の神。
(その他はインド、中国の神)

「さあ、おはよう突撃インタビュー、
今日はアネキャンモデルの
エビちゃんです。
さあて、まだ寝てるでしょうか、
あっ、寝てます寝てます。
はいっ、エビちゃん、
おはようございますっ。」

「ううーーん」

「おはようございます、
いやあ、
エビちゃんは、
朝からいい顔してますね」

「はあーい、エビすがおです」

今日の創作都々逸#28
♪ 
目と目が あって
手と手が あえば
心と心が あいしあう

2009年9月3日木曜日

チキンラーメン

本日発売の「落語研究会 六代目
三遊亭圓生 全集 上 [DVD]」
が届きました。
開けてみて驚いたのは
12枚も入っていたことです。
下巻は2010年3月発売だそうです。
楽しみです。

今日は美味しい
チキンラーメンを作りましょう。
チキンラーメンの持ち味は、
あのペラペラの麺にあると思っています。
しかし、旨味が今ひとつ足りません。
そこで、旨味を足してあげましょう。

用意するのは鶏肉だけです。
上にのせて食べる分と
出汁を取る分とに分けます。
お湯が沸いたら火から下ろして、
ひと冷まししたお湯に、
上にのせて食べる分の
鶏肉を浸けます。
15分たったら、
やわらかく出来上がっています。

そのあいだに、出汁をとります。
といってもただ鶏肉を煮るだけです。
ぐつぐつ
できれば長い時間煮たいのですが、
10分も煮ればいいと思います。
その出汁をお湯の代わりに
チキンラーメンにそそいで、
5分待って、
別鍋で柔らかくなった鶏肉をのせて
出来上がりです。
3分でなく5分なのは、
麺がスープを吸って
柔らかくいい味になるための時間です。
いかがですか。
とくにこんな夜中には、
うどん屋さんより
きっと美味しいはずです。

今日の創作都々逸#27

お湯がぬるいと 感じるくらい
湯気の向こうに キミを見る

2009年9月2日水曜日

火事の秘密

「火事と喧嘩は江戸の華」
喧嘩はいいよ、仲直りが前提だもの。
でも、火事はそうはいかない、
全部持ってっちゃう、
命までも持って行きかねない。
それが華だなんて、
なんとなく納得がいかない、
なにかありそうな予感。
なんと、その予感が的中したんです。
火事には秘密がありました。

福沢諭吉が創設した
「時事新報」に
自身が書いた記事の中で、
火事についての記載があります。

それによると、
そこには人力車を生業にしている家族が
焼け出されている様子が
書かれているのですが、
なんと、喜んで、祝っているというのです。

なぜなぜ。

それは、人力車、夜具、家財道具、
もちろん長屋、全てがレンタル、
しかも、弁済義務はない。
私財は鍋釜と
柳行李(やなぎこおり)一つと妻子だけ。
それらが無事なら、
新しい家になるわけで
お祝いだというのです。

「もっと半鐘鳴らさなきゃだめだよ」
「なんでだい」
「そのほうがジャンジャン燃えるよ」

今日の創作都々逸#26

会いたさ会なきゃ いたさが残る
いたさに愛湧きゃ また会いたい

2009年9月1日火曜日

シャケの店

ガスコンロもガスは爆発するなんて
言っていたんでは使えませんよね。
いや、私は古いけど
やっぱり七輪がいいなんてんで、
サンマなんか焼いているてぇと、
こんどは気持ち悪くなったりしてね。
いろいろと良し悪しがありますから、
何とも言えませんがね。

ま、秋といえばサンマです、かね。
ボクは北海道出身なので、
秋と言えば鮭ですね。

札幌から車で30分、
石狩の砂浜の中に
昔からのシャケの専門店があるんです。
シャケの全てが
料理になって出てきます。

安部公房の「砂の女」を地でいくような、
砂浜の真ん中にぽつんとある
一軒家です。
あー、そこを探して車を
走らせていたときのことを想い出します。
砂浜に沿った一本道で、
まだなのかなあと、
思っていた所に看板がありまして、
そこに「らはいあ」とあったのです。
ボクはてっきり、
「うーん、これはハワイアンカフェか
なにかかな」なんて
思ってるうちに着いてしまったら、
なんとそこが「あいはら」だったという。
店の名前も知らないで行くなと言う話で。

今日の創作都々逸#25
♪妬けぼっくりに 火がついたとて
好いをかけるよ 消えとくれ