落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年9月11日金曜日

高下駄

今日の創作小咄#6

「お客人、いけませんや、
たった今、川止めです」

「えっ、そんな、
急いでいるんだ、
こいつは
お上に献上の品だ、
たった今ならいいだろ、
なんとかやってくれ、
酒手ははずむ
無理とあらば
品だけでもよい、
一刻も早く
届けねばならんのだ」

「たいそう大きなもんですが、
お品はいったい
何でごぜえますか」

「京の辻屋の
桐の高下駄だ、
十分な数を揃えておる」

「いやぁ、お役人が
おりますから、
だめですよ、
昨日までの雨で、
もう水は
胸まで来ちゃって
ますからね」

「うむ、
そう言うな、
じゃ、
胸まで来てなきゃ
いいんだな、
よしっ、
この高下駄を
一つ、
その方に預ける、
履いて渡れば
水は胸まで
こないだろ」

「そりゃあ、
だめです、
いけませんや、
そんな
高い下駄預けた日にゃ
必ず流れてしまいます」

今日の創作都々逸#36

冷たいと 
涙ばかりが たまっていけば
いつか別れと 流される

0 件のコメント:

コメントを投稿