落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年9月12日土曜日

遊山船

今日の創作小咄#7

「吹けよ川風、
上がれよ簾、
中の小唄の顔みたや」
なんて言いまして、
屋根船なんかに、
障子を立てて、
簾を下げて、
二つ枕で小唄の稽古なんてんで、
訳知りの船頭に
酒手はずんで
遊山船(ゆざんせん)です。
揺れてばかりは嫌だと言って、
ちょいと岸で
落ち着きましょうと、
たのまれ、
水辺に繋ぎます。

「おまえさん、
どうなんだい、
大丈夫なのかい」

「ここまでくりゃ
しんぺえねえ、
駆け落ちは成功でえ、
まさか船とは思わねえだろ」

「そうかねぇ、
このまま
ずうっと行くったって、
あの船頭になにかあったら
どうするんだい」

「まかせとけよ、
オレはな、
これでも、
ちよっと前じゃ、
船頭の船徳といやぁ、
船宿界隈で
知らねえもなあ
いなかったんだ」

「えっ、おまえさん
船頭だったのかい」

「そうよ、
海に出ちまえば
こっちのもんだ」

「えっ、
だめだよ
船頭が二人もいたら
山に登っちまうよ」

今日の創作都々逸#37

すねられて
水に映った おこった顔は
ほんとの顔の 裏返し
 

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