落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2013年8月31日土曜日

仕事の合間にちょいとなぞかけ


福島第一原発とかけまして

幽霊とときます

その心は

いまだウランでています

志ん諒


2013年8月21日水曜日

2013年8月18日日曜日

本日は「お若伊之助」でご機嫌を伺います

暑い。こんな時こそかき氷が美味い。そうめん、冷や麦も氷で冷やすとこれがさらに美味い。製氷機があってジャンジャン氷が使えたらいいな、と思って製氷機を設置した。設置したのは水道から直結で使う厨房機器では名の通っているホシザキの製品。

どうだ、これでジャンジャン氷と思ったら、「あ、浄水器」。そう、あたりまえだったのだが水道水がそのまま氷になってしまっていた。うーん、これではせっかく台所の飲み水が「トリハロメタンも怖くない」っていう浄水器なのに、ガーン。

でも、こんなことではくじけない、蛇口とジャンジャン製氷機の間に入れる浄水器はないのかと。あったあった、ありました。業務用浄水器では名の通ったメイスイの水道直結型浄水器。細い管からチョーっと出てくるんじゃなく、水道管と蛇口の間に入っちゃう浄水器だ。

よし、完璧とおもったて使用説明書を読んだら、「始業時に一分間残留水を排出して下さい」と、なんと最初のかなりの氷はその残留水の氷になってしまうのではないですか、ガガーン。


 こんな調子で、いいだろうと思ってってはだめで、じゃぁこれならいいだろうと思ってまただめで、じゃぁ、と、こんなことを続けちゃう。落語「お若伊之助」もそんな話で。

娘を一中節の稽古に一人で通わせるより、先生に来てもらった方がいい、と思ったら、その男の先生とできちゃって、ガーン。

これはまずい、じゃぁ手切れ金を払って別れさせたんでいいと思ったら、お若は忘れてくれない、ガガーン。

じゃぁ根岸の兄さんの所にあずけてこれでいいと思ったら、なんとこれが大変なことに。というお話で。

そうゆう事って自分だけじゃないんだぞと納得して、ちょっとホッとしたりして。今日は独演会ではこの噺をネタ下ろしします。今日はガガーンがないといいなぁ。


2013年8月16日金曜日

船頭しとり雇って下さいな

今もしかしたら話題の映画パシフィックリム。見たひとが「あの怪獣は日本の放射能汚染じゃないの」と言っていました。そう考えるとなるほどと思えます。今この時も海はどんどん汚くなっているわけで。その原因はまさに手に負えない巨大な怪獣。パシフィックリム、太平洋の縁って日本のことですか。怪獣の体内から発する青白い光はチェレンコフの光というわけですか。しかし、これが現実ですからね。うーん。にっちもさっちもいきません。こんな時は無理に笑ってみますか。


そんなにっちもさっちもいかないと言えば、落語「船徳」で船頭になんとかして貰った若旦那の徳さんのことを考えてしまいます。おそらくは舟を浅瀬に乗りあげて疲れ果ててもう艪を握ることもできない徳さん。舟を下りたお客さんに「大丈夫かぁーい」と声をかけられます。「お願いがあるんですがなぁ」「なんだい」、とここですぐに「船頭しとり雇って下さいな」と言わないで、へへへと歪んだ顔で笑って見せてから言うほうがより心情が表現できるかもしれません。


2013年8月12日月曜日

気遣いを味わう

暑いです。「猛暑猛暑」とニュースは繰り返しています。涼しいと「冷夏」と言い、どちらも「異常気象」と言われますが、さて、正常な夏の暑さってどんなもんなんだっけと、ハタと考えてしまいました。ん、その「正常」って何。ま、とりあえず考えるとおつむが熱くなるので、ここはひとつ、涼しい雨の日を思うことにします。

そうそう、雨の降る日に細い路で、向こうから傘を差した人が来ます。擦れ違う時に、こっちが傘を軽く傾けると、向こうも軽く傘を傾けてくれると、どこか嬉しいものです。ちょっと小さな挨拶のような。これがそうじゃないと、「あれあれっ」と思ったりします。傘を傾けるのはささやかですけど「気遣い」と言えるでしょう。何かで嬉しくなるとき、気がつくとそこに「気遣い」があるようです。

無理遣りかも知れませんが、落語はそんな「気遣い」を味わう芸能かもしれません。江戸の頃には「傘かしげ」と言って「粋」とされていたようです。「粋って」と何時も悩ましいのですが、どうやら「粋」の意味のひとつに「気遣い」があることは間違いないようです。


先日の「紙兎ロペ」が新旧で大きく作品の質が違うのは、実に「気遣いの味わい」の有無にある気がしています。ロペ君は愚直に気遣います。それに対して、アキラ先輩は一見気遣いの無い傲慢な態度のように見えますが、その実気遣っていることがにじみ出るような構成になっていて、その不器用さに、二人の気遣いぶりに思わず微笑んでしまうのです。

そう、「紙兎ロペ」は正に落語ですね。

そうだ、ロペ君をアキラ先輩が一度だけ「おい、マサ」と呼んだことがあったっけ。あれは本名なのかな。あぁ、それももう知ることは出来ないのか。


2013年8月9日金曜日

もういちど




「紙兎ロペ」という短いアニメーションをご存じですか。

映画館で予告編の間に上映していたもので、まとめてDVDにもなっています。
去年の暮れから朝のテレビ番組の中で放送されています。内容は他愛ない生活の一コマを描いたものですが、その会話は実に秀逸です。そこには落語で目標としている人間関係が見えてくるのです。「水曜どうでしょう」的とでも言ったらいいのでしょうか。あ、かえって解りにくいかな。まるめてしまうと、ほのぼのと仲良しなんだなぁといった人間関係です。

作者は内山勇二さん。ほとんどの登場人物の声を一人で演じています。落語と違って機械を使って声を変えていますし、多重録音なので、被せるように会話が進んだりします。その「間」の見事なことと言ったらありません。「うちやまゆうじさんのTwitter」によると何度も何度も採り直したそうです。30回を超えることもあったとか。その情熱に脱帽です。

 実は今放送されている「紙兎ロペ」は内山勇二さんの作品ではないことを先日知りました。
毎日見ていて、5月頃から「疲れているのかな、忙しくてちょっとやっつけになってるのかな、やっぱり毎日は無理なのかな」などと勝手に思っていましたが、その理由がはっきりしました。

いろいろと事情があったのでしょうが、なにより残念なのはあの雰囲気が今の放送には全く再現できていないことです。あらためて内山勇二さんの才能を感じました。そして「もういちど」と切に願わずにはいられなくなりました。

これからは「水曜どうでしょう」のように再放送が繰り返されるのでしょうか。
「一生ロペします」と叫び声が聞こえたら夢でした。