落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年9月24日木曜日

サザエのワタ

今日の創作小咄#20

「真之介様、
このサザエの壺焼きは
お母様の得意料理ですの」

「あら、
お花ちゃん
得意料理だなんて、
焼いただけですから、
どうぞ召し上がって、
お好きですか」

「はあ、
ええ、
もちろん、
大好きです、
ですが、
この、
うわっ、
すごい
大きなワタが
ついてきました
これをと、
外して、
あ、
うん、
うまい、
美味しいです」。

「あら、
お花ちゃん
お醤油とって差し上げて
おや、
真之介様は
美味しいものは
最後に食べるほうなのね、
また、
よく知ってらっしゃるわねぇ、
サザエは
ワタが
一番美味しいのよね」

「あ、
はい、
そのとおりで
ございます。
ワタが、
ええ、
身と一緒だと、
ですが、
ワタだけで食べるというのも、
これが
じつに、
う、
う、
うー、
うまい」

「あらまあ、
気に入っていただけて
よかったわ、
お花ちゃん、
もう一つ差し上げて、
さ、さ、
ご遠慮なさらずに」

「あ、
はい、
恐れ入ります、
あ、
これが、
貝から出すのが
一苦労でして、
ああ、
途中で
引っかかりますね
引っかかるなあこれは、
あ、
切れますよ
切れるなあ
切れちゃう
切れました
なので、
身だけ
頂きます」

「あら、
そう、
ちょっといいかしら、
どれどれ、
こう、
ね、
引っ込んじゃうと
取れないのよね、
こうゆうのはね、
ゆっくり
回してあげると、ね。
はい、
取れましたよ、
うん、
美味しそうね」

「はあ、
どうも、
恐れ入ります、
やはりこの、
ワタだけでというのも、
はあ、
おつでございます。
この、
なんといいましょうか、
口の中が
きゅっと小さくなって
なくなっちゃうんじゃないかって
くらいの、
なんですね」

「あら、もしかして、お嫌い」

「い、
いえ、
いえいえ、
とんでもない、
ワタがなけりゃ
ほしいくらいで」

「そう、じゃ、
こちらに、
花ちゃんが残した
ワタが
たくさんありますから
召し上がって」

「えっ、
花ちゃん
ワタ食べてないの、
こんなに
ワタばっかり
ふえても、
なぁ、
花ちゃん」

「いいえ、
綿は
欲したら
膨らみます」

今日の創作都々逸#50

ちょいとつっつきゃ
 ぴたりと閉じて
命かけてる 貝がない
   

2 件のコメント:

  1. サザエ
    もう、どれ位の間食べてないだろうか。。。。
    この前のイカの話の時と同じで
    無性に食べたくなっちまったよ。
    あ~、磯の香りがしてきたよ。
    あたしは、ワタは好まないけど
    サザエ、ホタテなんかのワタを喜んで
    食べる人もいるねぇ。
    貝とゆうと、その神秘的な形にも惹かれるけれどね 笑
    やっぱり、食感と風味かね。
    どんなお酒にも合うんだよねぇ。
    そういやぁ、以前、一世を風靡したクリオネ。
    流氷の天使=クリオネね。
    あれも貝の仲間なんだってよぉ。
    あいつぁ、見方によっては悪魔にも見えると思ってたんだけどねぇ。頭にツノ二本あんだからさぁ。
    何でも、ハダカカメガイとかゆうそうだよ。
    貝殻の無い貝。。。。貝殻無くても貝だってんだよ。。。。はっきりしねぇヤツだよ全く。
    小さい頃におっ母さんに良く 寝巻き起き巻き
    と言われたもんだよ。どっちかはっきりしろって。
    今じゃ死語かねぇ。。。。
    全然、関係ない話になっちまったけど、
    はっきりしない繋がりってことでさ。
    許しておくれよ。

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  2. コメントありがとうございます。
    クリオネの補食シーンを
    テレビで見て驚いたことがあります。
    でも、普段の動きは愛らしいですね。
    クリオネの手?の動きは、
    ちょいと、日本舞踊で扇子を
    回すときの動きに似ています。

    食欲の秋ですね。
    私は、ときどき料理します。
    貝は美味しいですね。
    出汁をとると味わいがありますね。
    貝で想い出すのは、
    鎌倉の海岸で桜貝を拾ったことです。
    光に透かすと実に綺麗です。

    せっかく鎌倉まで来たんだから、
    これを拾わなきゃ、
    来た貝殻ない、

    などと言ったりしまして。

    また、コメントお待ちしています。
       

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