今日の創作小咄#23
「お花ちゃん、先に座って」
「そんな、真之介様が先に」
「いや、
ニコラスが言っていたのだが、
オランダ式では
紳士の作法というものがあって、
なんでも、
女性が先に
するものらしいのだ」。
「そうなんですか、
では遠慮無く、
お先に座らせて
いただきます」。
「で、お花ちゃん、
何をたべようか」
「真之介様は」
「ほーら、
それは日本式、
オランダ式だよ。
お花ちゃんが決めていいんだよ」。
「そうですね、
田楽は甘いから、
後での方がいいかしら、
なにか、
あ、
サザエがあるわ、
真之介様の大好物だもの、
サザエにしましょ、
いい、
すいません、
あ、
板前さん、
サザエください」。
「へい、
サザエですね、
こんなこと言っちゃ
申し訳ございませんが、
実は今日は
早じまいでして、
このサザエ、
残っても
捨てるだけなんで、
よかったら
みんな召し上がっていただけると
ありがたいんですが、
いえ、
お代は
一人前でけっこうですので」。
「あら、板前さん、
たくさんあるんですか、
真之介様、
どうしましょ」
「お花ちゃんの
好きにしていいんだよ、
ボクたちは、
オランダ式で言うところの
紳士と淑女なんだから」。
「それじゃ、
真之介様、
なかよく、
半分半分にして
食べませんこと」
「うん、
いいね、
そうしよう」。
「板前さん、
そっち行っていいかしら、
たくさんあるんなら、
運ぶのお手伝いしますわ」
「へい、
さいですか、
あいすいません」。
「花ちゃん、
まだかい、
手伝おうか」
「大丈夫、
真之介様、
できたわ、
お皿いっぱいに
なっちゃった。
はい、
真之介様、
半分半分にしてきたわ、
こっちが、
私の、
で、
こっちが、
真之介様の
大好物」。
「えっ、
こっちって、
こっちは
みんな
ワタだけだよ」。
今日の創作都々逸#53
♪
半分半分 なかよくわける
ほんになかよきゃ わけやせぬ
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