落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2014年12月23日火曜日

落語研究16 芝浜5 改作メモ

「芝浜」を独演会に掛けるのは今回で5回目です。 「芝浜」は2010年の暮れ、独演会第1回の演目でした。あれから5年。落語の探求は未だに迷走を繰り返しています。
しかし、それがどれほどバカげた回り道でも、先に明かりが見えていれば、それでよしと考えています。

今回の「芝浜」はそんな思いで、この一年を締めくくろうと取り組みました。

来年も、幸いにも「芝浜」を話すことが出来るとしたら、その時のために、改作した要点をメモしておくことにしました。

●羽織を布団に見立て、勝五郎が寝床から起き上がる時に羽織を脱ぐ。

●「いいとこだったんだよ。せっかくいい夢をみてたのによ。まだちっとしかねてねえじゃねえか」
(夢を見ていた、その見ていた夢が浜でお金を拾った夢だと、後に勝五郎が自ら思う事になる)

●女房は愛情を込めて勝五郎を起こす。長屋のおかみさんといえども、乱雑すぎないよう、温かく起こす。

●「酒が残ってやがら」
(酔っているから、寒さもあまり感じず、納屋で寝込んでしまう)

●「水瓶の蓋でもあけとけばいいだろ」
「何言ってるんだね、金魚じゃないんだよ」
「そか、お前はオレに鯉だったな」
    (照れて)
「下らないこといってんじゃないよ。早くいっとくれ。ほら、タバコだよ」
(ラブラブを見せる)

●「酒のおかげだ、寒くねえや、いや、夜風が気持ちいいくらいだ」

●「問屋が開くまであの納屋で休んでいるか」
問屋の隣の納屋に立て掛けてある戸板の陰に腰を下ろすと、酒のせいもあって、うとうとっとしたかとおもったら、すっかり寝込んでしまった。
    (酒は抜けて)
「おーさみーっ、いけね、すっかりねちまった、いけねいけね、ねちまっちゃカゼひいちまわ、浜におりて、顔でも洗って一服するか。おや、まだ真っ暗だぜ。」

●「夜の海は暗れえっていうけど、暗れえんじゃねぇや、黒いんだ。真っ黒だぜ。ほら、このキセルの火だけがポツンと赤く光ってら。」
(歌舞伎世話物狂言『芝浜の革財布』では、しばしば舞台を暗転させて、赤い火だけをポツッと舞台に光らせるという演出をします。そこからの表現です。)

●女房がお金をうまく数えられないのを見て、下手にどかして、勝五郎も下手に移動して数える。お金の位置は変わらずに二人が下手に移動することを表現する。

●52両
「お天道様が天下の通用にしろと52両下さったんだよ。52両。ごじゆうにしろってことだよ」
※綾小路きみまろさんのギャグを使わせていただきました。

●「大名暮らしができるぜ」
(オチのために大名を振っておく)

●「十二単でも何一重でも、もういいから一重だらけになっちまえ」

●「ハゼがある?ハゼそんなものしかないの、ま、いいから持ってこい」

●湯に行っての件を言わずに、すぐ女房が起こし、女房が、勝五郎が湯に行って友達と騒いで寝込んだという経緯を語る。

●「また釜の蓋かぁ、お前は釜の蓋が好きだねぇ」
(釜釜って、それこそ釜わねえってやつだよ、蓋あけきゃあの金であけりゃいいだろ)

●女房が不器用に嘘をつく、なんとかしなけりゃという必死さ。生まれて初めて嘘をつく女房。それに気づき一度は嘘をついているなと見破る勝五郎。

●「天ぷらや鰻はいいよ、なんだいこの鯛の造りとか魚、え、家はサカナラだよ!」
(興奮のあまりカミカミに力んで)

●「どうするんだい」
「ですね」
「ですねじゃないよ」

●「お前まえによ、オレとだったら死んでもいいって言ってくれたよな。一緒にしんじまうか」
(ラブラブを見せる)

●「お前さんのおとっつぁんが死んで、お前さんが酒に溺れた、その気持ちは痛いほどよくわかるから、だから今までほっといた。そしたら、酒のせいで商いできなくなっちまった。どうだい、そろそろここらで酒と縁を切って、もとのお前さんに戻って商い始めて見たらどうだい。そうすりゃ、こんな払い、すぐに済んじまうんじゃないのかい」
(生来の酒に溺れる酒好きならば、腕のいい魚屋として評判を呼ぶ訳もなく、酒に溺れずにはいられなかった事情があったのではないか。だからこそ、キッパリと酒をやめることも出来たのではないか。)

●(女房のためと、雪の降る日も足を真っ赤にして売り歩きます。それはそれは一生懸命働きました。三年経った大晦日の夜。)

●帰って、障子に気づき、畳と女房は新しい・・・、「何言ってんのよ、ほら、お茶だよ。」と福茶。輪飾り、張り提灯、薪をくべて火をおこしてやんなきゃ、掛け取りにゃ火が何よりのごちそうだからな。

●「押し入れの布団の陰に隠れた。布団てなああったけえなあって思ったぜ」
(長屋に押し入れのあるものは少なかったと思われるがあえて)
(次の風呂敷の中で震えていたという寒さを強調するため、温度に注意を向けておく)

●「それにくらべりゃ、今は大名みてえなくらしだ」
(オチのために大名を振っておく)

●「あんだけ人がいっぱいいるとかえって一人で考えてしまうものだ」

●「お前のおかげだななんて思った。まあ、あの頃は酒が一番大事だったが、酒と離れてみてわかった。大事な物はこんなに近くにあったんだなんてな。いやもう昔みてえな暮らしはごめんだ。二度とあんな自分にはもどるめえと思ったぜ。」

●「欺してごめんなさい」
「いゃ、、お、お手をおあげんなって。いゃ、おめえは欺してなんかいねぇよ。あやまるこたあねぇ。そりゃ違うよ」
「えっ」
「うん、おめえは欺したんじゃねえ、回り道したんだよ。。。よく回り道してくれたなぁ。ありがてえ、ほんと、、ほんと、ありがとう」

●「許してくれると思った。だから一番いいお酒を用意しておいたの。のんでくれるかい」

●「今、バサッていったぞ、いや、いったいった、雪だ雪、ほーら、こんなに積もってるよ。おお、綿帽子みたいになって降ってるぜ。いやぁ、雪見酒だな、明日は真っ白な、いーい正月になるなぁ。おっ、おい、増上寺さんの鐘だよ。増上寺さんが除夜の鐘打ち始めた。増上寺さんの鐘を聞きながら、雪を見ながら一杯飲めるなんて、ほんと大名だ。。いや、やっぱりやめとくわ」
「どうしてだい」
「またゆめんなっちゃいけねぇ」

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