落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2021年2月21日日曜日

【 落語の雑則 41】 キセルは重い

小学三年の頃、祖父と暮らしていた

キセルでタバコを吸っていた

ヤニの匂いは

キセルを見ると思い出す


両端が黄金色のキセルだった

イタズラに持ったら重かった

子供だったからかもしれない

けれど

その重さに

吸ってちゃいけない

タバコに有難みを感じた


祖父は

嬉しそうに

楽しそうに

機嫌よく

キセルをくゆらせていた


煙の向こうの

はにかむような笑顔は

いつも

こっちを見ていたような気がする


そして

そのキセルの動きは

けっして軽快ではなく

のっそり

のっそりと

顔の前で揺れていた


吸っている間にやってくる

静かな時間


重たいキセルが時間を停めているようだ


その場面を今見ても

おそらくきっと

重そうなキセルだなと思うだろう


そんなキセルに見せるには

ずしりと重たく見せるには

どうしたらいいんだろう


動きに重さを感じるような


そんな落語を追究したい





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