江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう
今日の創作小咄#54
歌川広重 東海道五十三次 岡部 宇津の山
↓ PLAYでは千一亭本当が「岡部宿柏屋露天風呂」でご機嫌を伺います
「ご隠居、広い風呂ですな」
「そうだなニコラス、
ここ岡部の柏屋(かしばや)
は大旅籠だけあって、
風呂もでかいな。
これだけ人が多いと、
物騒でもあるぞ。
荷物などは取られてもいいが、
困ったのは
この密書だ、
金はこうやって、
手ぬぐいで巻いて、
頭の上に乗せておけばよいが、
密書は湯気で痛むよって、
そうはいかん、
のう、
どうしたらよいかの、
ニコラス」
「そうですな、
この駕籠の下に
隠しておくのが良いかと」
「こらこら、
声がでかいぞ、
それじゃあ、
ここにありますよと
教えているようなものだ、
こうゆうときは
こそっと囁け」
「あ、
はい、
それでは、
そこの植え込みの陰に
隠すというのはいかがで」
「おお、
そうだな、
そうしょう」
「ご隠居、ニコラス、
早く、早く、
この露天風呂は
最高ですぞ、
庭の紅葉と
夕日で
真っ赤です」
「そうか、
そうかそうか、
じゃ、
ワシが先に露天風呂に行ってくるから、
ニコラスは
内風呂から、
脱衣場を見張っていてくれ、
何かあったら頼むぞ」
「はい、ガッテンです」
「おお、
どうだ真之介、
なるほど、
山全体が
くれないに染まっておるのお、
んー、
いい湯だ、
しまった、
徳利を一本持ってくるんだったな」
「そうですね、
山が言っておりますぞ、
呑んでくれないかと」
「ははは、真之介、
ん、
どうしたニコラス」
「いえ、
実は、
・・・」
「ん、
どうした」
「はぁ、
実は隠密が入ってきまして」
「なに、隠密が来たか、
で、どうした」
「密書を盗んでおります」
今日の創作都々逸#85
♪
お酒の好きな ご隠居さん
夜はご機嫌 ご隠居さん
朝にゃ不機嫌 二日酔い
隠居じゃなくて 陰気だよ
(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)
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