落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年12月1日火曜日

三条大橋の大作戦



江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう 

 


今日の創作小咄#65

歌川広重 東海道五十三次 京師三条大橋



↓ 音が出ます、千一亭本当が「三条大橋の大作戦」を演じます


「ご隠居、はらへりました」

「おお、そうだな真之介、
ここは鴨川、
名物の川床にでも参りたいところだが。
この三条大橋は東海道と中山道の終点、
旅の無事を祝いたいところ、
しかし、いまだ密書は隠密の手中だ、
のんびりと川床でもあるまい、
な、ニコラス」

「いえいえ、拙者に考えがあります、
すぐに川床で腹を満たせますぞ、
まあ、古典と言われる『すりかえ』の技でござるが、
相手は間抜けな隠密でござる、
まずは成功間違いなしと、
先刻、真之介と打ち合わせてあります、
後は隠密が通りかかるのを待つだけでござる、
な、真之介」

「ええ、拙者が、こうして、
頭巾をかぶって、泥棒の役になります、
そして、あ、そうそう、
ご隠居、金子を拝借したい、
見せ金でござる、二、三両もあれば十分、
あ、どうも、ではこれを手ぬぐいで包んでと、
で、こっちには
あらかじめ用意した
同じ手ぬぐいの包みがありまして、
いえ、中身は刀の鍔(つば)で。
これを密書とすり替えるのです。
手筈はこうです。
まず、拙者が慌てて逃げている風を装って
隠密前で転びます。
そこで、この小判の入った包みを
隠密の足下に落としますが、
それには気づかぬふりで、慌てて逃げ去ります。
そこに、ニコラスが駆け寄って、
な、ニコラス」

「さよう、拙者は、
取り逃がしたと残念がりながら、
その包みを拾うのですが、
『この金は上納金、
刻限までにゃ
河原町の親分に届けなきゃなんねぇ、
さっきの野郎は間違いなく鞍馬んとこのもんだ、
逃げられねぇうちに
ふんずかまえてなきゃなんねぇから、
悪いが、この金を河原町の親分に
届けてくれねぇか、
いゃ、ただとはいわねゃ、
ここに一分ある、これでたのまぁ』、
こう言われて断るやつぁいない、
そこで、
『おっと、大事なものはこう懐にしっかり入れるんだ、
落としちゃいけねぇからな、
そうだ、一つに纏めといた方がいい、
大事なもんがあったら出しな』、
というと、隠密は密書を出す、
それを小判と一緒に手ぬぐいで包んで、
ほら見ろ、こうしてなと言って、
自分の懐にいれたところで、
刀の鍔の包みとすり替えて渡しちゃう、
『頼んだよ』と言って逃げちゃう訳で。
どうでしょう、ご隠居」

「なるほど、今回は二人で考えたのだな、
どこかで聞いたことがあるような話だが、
実に良くできておるぞ。
ん、
ん、どうした、真之介」

「来ました、隠密です、ご隠居」

「そうか、よし、いけ、真之介」

「はっ」

「ご隠居、あいかわらず、
真之介は脚が早いですな、
あっ、上手く転びましたぞ、
いいところに包みを落としましたぞ、
では、拙者の出番です、
行ってきます」

「はっ、あっ、ちくしょう、
逃げ足の速い奴だ」

「どうされましたかな」

「泥棒です、逃げられちゃったけど、
慌て者だ、こんなところで転んで、
せっかく盗んだ包みを落としていくなんてね。
わるいね、拾って貰って、さ、さ、」

「えっ、いいえ、拾ってませんよ」


今日の創作都々逸#96

(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)
地図を読めない彼女だけれど
車庫入れ誘導まかせてと
オーライオーライバックで入れりゃ
ガツンとぶつかり ハイストップ
(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)

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