「ちょうどその頃湯島天神の境内では 富の当日でございまして 鳥居をくぐって中に入るってえともう大変な人で まるで年に一度のお祭りのような騒ぎ」 |
「押し引き」という言葉があります。
掛け合いの押し引きとか、
カメラの押し引きとか、
麻雀の押し引きとか、
いずれも、攻める方とそうではない方の対比です。
これを意識すると、落語がさらに
立体的になるようです。
「宿屋の富」では、
宿屋のアルジが客の話を聞いているときは
「引き」ですが、
富くじを売る段になると「押し」になります。
客はその逆ですから、
その変化をハッキリつけられれば、
さらに良くなると思います。
湯島天神に場面が変わるときも、
「カメラの押し引き」 の意味で「引き」です。
ここでは、情景を俯瞰しているかのように、
雄大に話すことで「引き」から人物へ寄っていく
「押し」を効果的に表現できると思います。
「押し引き」という二元論な捉え方は
乱暴かもしれませんが、
話にメリハリをつける上では
有用だと思いました。
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