落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2014年1月25日土曜日

これから来るものはそれらと何の関係もなくやってくるからね

深夜、
「大きな道に出たらタクシーを捕まえるぞ。
おっと、一台空車が来るぞ。」
その後ろからも続いて空車が来ているので、軽い気持ちで最初の一台をやり過ごすと、

「えーっ」
通り過ぎていくそのタクシーの後ろのフェンダーに「深夜割り増しなし」の文字。
「あーっ、しまった、これにするんだった」と見送ると、
リアガラスの下にさっきの3倍もの大きさで「深夜割り増しなし」の文字。
「えっ、えーっ」

あれっ、そのタクシー、前には何にも表示がないよ。「深夜割り増しなし」の文字は車体の後部ドアのさらに後ろ、通り過ぎて初めて気づくところにあるのはなぜ?「残念でしたね~」ってこと。しかも、さらに後ろに追い打ちをかけるように3倍もの大きさで「深夜割り増しなし」の文字、「ねーっ、残念だったねー、さよならー」ってこと。ですか。

いやいやそうじゃない、もしかすると、そのタクシーを止めて、さあ乗り込もうとした時に初めて気づくから、「おお、ラッキー」と、その喜びを最大限に引き上げようとした心憎い演出。ですか。

ね、過ぎていったタクシーはどうでもいいのだから、後ろに書かなくていいと思います。これからやって来るタクシーにわかるようにしてほしいです。深夜のことなのだから、文字で書くより、行燈の横に青いランプを点けるとかしてほしいと思います。

三台「深夜割り増しなし」が過ぎ去れば次は必ず「深夜割り増しなし」が来るとかなら、後ろに書いてもいいでしょう。けれど、過ぎ去ったものはこれから来るものに何も影響しないのです。過ぎ去ったもの達の積み重ねの上にこれから来るものがあるのではない、これから来るものはそれらと何の関係もなくやってくるのですから。

けれど、いつのまにか、町内をぐるっと回って、戻ってくるかもしれません。その時は、ためらわず「はーい☆タクシー」と全力で捕まえますよ。

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