落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2021年1月20日水曜日

【 落語の雑則 9】 見えない相手を見て話す


落語には二種の対話


見える相手に話す

客と落語家の対話


見えない相手に話す

登場人物同士の対話


宙の一点、壁、柱

それらを見ての話の

相手との距離は

それらとの距離になる


見えない相手を見て話す

そこには相手との確かな距離がある


距離を意識して話すのでなく

相手を意識して話す

相手が動いている事もある

相手が来る事も、去って行くこともある


相手が見えていれば

距離は自ずと伝わるもの

距離が伝われば

舞台はより鮮明に見えて来る


見えない相手を見て話す

そこには相手の委細な造形がある


人は相手の様々は所を見て話す

目を見て話すだけではない

描き込んであるのなら

微な視線の移動は

情動を伝える

言葉より

確か


そんな落語を追究したい


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