落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2021年3月5日金曜日

【 落語の雑則 52】 当たり前を作る

 裏にしたトランプの山を一枚ずつめくって色を見る


一枚目は黒いカード

二枚目も黒いカード

三枚目も黒いカード

四枚目も黒いカード


そして五枚目に赤いカードが出る


いつかは赤いカードがでると分かっていても「おっ」と思う


 たいてい次も同じ事が起こるだろうと思いがちである

だって、黒が出ていることは記憶にあって、赤が出た事は記憶にないから


記憶をたよりに黒がでることが「あたりまえ」になる


 「あたりまえ」になったあたりで赤いカードが出てくると「おっ」となるわけである


 意外性の出現が笑いを生む。


 落語では赤いカードこそが笑いを生むと考えがち


でもいきなり赤いカードを出して「おっ」となるだろうか


「あたりまえ」があってはじめて赤いカードが生きるもの


 黒いカードが続くことに笑いはない

それを別の要素で笑いを作りながら黒いカードが続くことを「あたりまえ」にしていく


 落語で難しいのはこの黒いカードで「あたりまえ」を作っていく事


楽しく当たり前がてきあがる話


そんな落語を追究したい


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