江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう
今日の創作小咄#47
歌川広重 東海道五十三次 神奈川(台之景)
↓ PLAYでは千一亭本当が「神奈川宿の朝」でご機嫌を伺います「では、
参りましょう、ご隠居
いい朝ですな、
今日も晴れましたぞ」
「そうだな真之介、
腹がへったか」
「はい、ペコペコです。
朝からずいぶん人がでてますなぁ。
やはり神奈川は湊ゆえ、
混んでおります、
旅籠が一杯とはビックリしました。
でも、木賃宿でしたが、
いい風呂でしたな」
「ああ、木賃宿は安くていいのだが、
飯が出ないのは不便だな、
おいおい、ニコラス、
早く来い、何を見ている」
「あ、いや、
朝っぱらから、
大声を上げているので。
あれは何かな、
真之介」
「ああ、あれは
蝦蟇(ガマ)の油売りだ、
ニコラスは初めて見たか、
ああやって、
刀を使っては、
どんな傷にも効くといって
売っておるのだ」
「へぇ、どんな傷にも効くのかぁ、
一つ買っておくかな」
「いいや、
ご隠居がお持ちの、
越中富山の万金丹の方が
いいかもしれん」
「え、どっちがいいんだ」
「んー、わからん、
あ、
あそこに水茶屋があるぞ、
ご隠居、朝飯にしましょう、
はい、
では、
たのもう、
たのもう、
おぅ、ここは空いているなぁ、
あ、三人だ、
いや、ここでいい、
出入り口に近い方が、
外が見られて良い。
ここでいいですかな、
ご隠居」
「いや、我々は
人目を忍ぶ旅ゆえ、
奥の方がよい」
「はい、わかりました、
ニコラス、奥へ行こう、
あ、失礼します、
同席させて頂いてよろしいですか」
「もちろんですとも、
あ、風呂でお会いした
ご隠居様ですな、
いや、風呂では、
ご挨拶もいたしませんでした、
失礼しました、
ご出立ですか」
「ええ、京へ上ります。
風呂にいらっしゃった
硯師さんでござるな」
「はい、そのとおり、
硯師です。
ゆっくり
お話ししていたいのですが、
なにぶん、
此処よりは船で参るので、
船出の刻限が迫っておりまして、
では、
これにて、失礼いたします」
「あっ、あ、
行っちゃいましたぁ、
ご隠居、
でも、どうして硯師だって
解ったんですか」
「肩についておる痕だ、真之介、
硯師は硯を彫るのに
こんなにある大きな石のみを
肩に当てて彫っていくのだ、
だから必ず肩に痕が
付いているものなのだ、
ニコラスも見ただろう
肩の痕を」
「はい、見ました、
ちょっ、ちょっと
近くによって貰っていいですか、
あそこで、
こっちを伺っている奴がいますが、
あれは先刻の隠密ではないかと、
な、真之介」
「うん、顔は確かに似ているな、
しかし、奴は町人ではないか、
隠密は確か浪人姿であったぞ、
でしたね、ご隠居」
「いや、確かにあの男だ、
今度は町人に化けおったな、
うむ、
ニコラス今度はどうする」
「この期に及んでは、
聞くのが一番。
相手が町人なら、
無礼にはなるまい、
そうゆう時こその
真之介でござろう、
今度は胴上げされることは
ないだろうからな」
「な、なに、
またオレか、
まったく、
えー、
あー、
あのー、
どちらへいらっしゃいますか」
「えっ、あー、京です」
「あ、ど、どうも、
京だって、ニコラス」
「京だってじゃねぇよ、
隠密か確かめるんだろ」
「そうか、
そうだよな、
えー、
あのー、
お、お仕事は何を」
「えっ、あー、硯師です」
「あ、どうも、
硯師だって、ニコラス」
「硯師なわけないだろ、
とっさに思いつかなかったから、
さっき聞いた硯師を語ったのだ」
「そ、そうか、
それじゃ、
ニコラスも一緒に来い、
えー、
あのー、
硯師さんでしたら、
肩がのみで
やられちゃってるはずでは
ないかと、
その傷がございますれば」
「え、肩、
そ、そうなんです、
肩でしょ、
痛くて、痛くてねぇ」
「あー、
それはいけませんな、
痛いんでしたら、
すぐそこで、
蝦蟇の油を買ったらいいですぞ」
「おい、
真之介、そうじゃないだろ、
オレが聞いてやる。
あの、失礼します。
お聞きしますが、
やはり、
いいのは、
蝦蟇の油より
万金丹ですかな」
今日の創作都々逸#78
♪
ちょっとの笑顔は くすりというが
薬の裏には 毒の顔
早速見てみましたが、私には落語が難しく感じます(><;)
返信削除噺を読んでみたんですが、頭に内容が入ってきませんでした。
話は変わってしまいますが、HPがとてもお洒落だなぁーと感じました!!
早速 コメント書きました。コメント書くの初めてでした。(^~^)/
初コメント、光栄です、
返信削除ありがとうございます。
確かに難しいなって、
反省しています。
易しく作っていくと、
これが、さらに、
くどくなりそうで、
ついつい、
はしょってしまいがちです。
加えて、この咄が
続き物なのに、
「プレビアスリーオン24」
みたいなのがないもので、
さらになんのこっちゃと
いったところだと思います。
実は、12月14日に
討ち入る大石内蔵助を
江戸まで無事に
連れてくるのが、
この3人の役目なんです。
間抜けな隠密に
追いかけられたり、
ご機嫌な町人に絡まれたり、
泥棒に狙われたりと、
油断できない旅が続きます。
無事役目を
果たせるでしょうか、
それとも、
大石内蔵助は別の何かで
江戸に入ったのでしょうか、
史実に残っていない部分で、
彼らの活躍?が続きます。
ぜひ、これからも、
遊びに来て頂ければと思います。
落語は、
ちっちゃな小咄が続いて
長くなったようなものです。
「ちょいと姉さん、粋だねぇ」
「なんだい、帰りだよ」
みたいな。
ね、可笑しいでしょ。
可笑しいことが続いて
長くなったようなものが
しあわせなのかもしれないので、
落語を、ぜひ、
よろしくお願いします。
HPもご覧頂き、
ありがとうございました。
圓窓師匠のポスターを
木に焼き込んだり、
彫り込んだりといった
イメージで作ってみました。
デザインを褒めて貰うと
とても嬉しいです。
コメント第2回目も、
よかったら、
ここにお願いします。