江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう
今日の創作小咄#44
(歌川広重 - 東海道五十三次 品川 日の出)
「ご隠居、
やっと着きましたな、
お疲れでござろう、
おや、
あれは大名行列では
追いついてしまいました」
「おお、
そのとおりだ、
ニコラス、
大名行列の
最後尾だな、
天秤棒の道具箱を
担いでいる二人の前が、
槍持ちの中間(ちゅうげん)だ。
町人も駕籠も
皆両脇に控えているな、
あのように
音もなく
粛々と進むは
見事だ」
「そうだぞ、
真之介、
喋りすぎだぞ」
「おいおい、
ニコラス、
独り言じゃないんだから、
喋りすぎは
その方もだ、
おや、
大名行列が過ぎたら、
わらわらと
女が出てきましたぞ、
四、五人こっちに来ますぞ、
ご隠居」
「ああ、
あれは旅籠(はたご)
の客引き女だ
今夜は定宿の釜屋(かまや)を
手配してあれば
真之介、
女どもにそう断って
下がって貰いなさい」
「はい、
承知しました、
こらこら、
我ら定宿あるよし、
下がれ、
こ、
こら、
触るな、
袖を引くな、
いや、
だから、
定、
うわっ、
ちょっと待て、
待て」
「ご隠居、
真之介が胴上げされております」
「なんとのう、
何をしておるのやら、
ま、
われらの代表として
まさしく、
担がれたわけだから、
ここは、
付いて行くしかあるまい」
「おお、
お疲れでしょうに、
ご隠居もやりますな、
で、
釜屋の方は
いかがいたしますか」
「いいや、
釜屋が先だ、
行った先で、
静かに断れば済むこと、
案ずるな、
ニコラス」
「しかし、
それでは、
あの女らは
わめき立てますぞ、
ご隠居」
「釜屋先(かまやせん)」
今日の創作都々逸#75
♪
疲れているかと 言葉は要らぬ
ほぐしておくれよ かたおもい
やっと着きましたな、
お疲れでござろう、
おや、
あれは大名行列では
追いついてしまいました」
「おお、
そのとおりだ、
ニコラス、
大名行列の
最後尾だな、
天秤棒の道具箱を
担いでいる二人の前が、
槍持ちの中間(ちゅうげん)だ。
町人も駕籠も
皆両脇に控えているな、
あのように
音もなく
粛々と進むは
見事だ」
「そうだぞ、
真之介、
喋りすぎだぞ」
「おいおい、
ニコラス、
独り言じゃないんだから、
喋りすぎは
その方もだ、
おや、
大名行列が過ぎたら、
わらわらと
女が出てきましたぞ、
四、五人こっちに来ますぞ、
ご隠居」
「ああ、
あれは旅籠(はたご)
の客引き女だ
今夜は定宿の釜屋(かまや)を
手配してあれば
真之介、
女どもにそう断って
下がって貰いなさい」
「はい、
承知しました、
こらこら、
我ら定宿あるよし、
下がれ、
こ、
こら、
触るな、
袖を引くな、
いや、
だから、
定、
うわっ、
ちょっと待て、
待て」
「ご隠居、
真之介が胴上げされております」
「なんとのう、
何をしておるのやら、
ま、
われらの代表として
まさしく、
担がれたわけだから、
ここは、
付いて行くしかあるまい」
「おお、
お疲れでしょうに、
ご隠居もやりますな、
で、
釜屋の方は
いかがいたしますか」
「いいや、
釜屋が先だ、
行った先で、
静かに断れば済むこと、
案ずるな、
ニコラス」
「しかし、
それでは、
あの女らは
わめき立てますぞ、
ご隠居」
「釜屋先(かまやせん)」
今日の創作都々逸#75
♪
疲れているかと 言葉は要らぬ
ほぐしておくれよ かたおもい
初めまして!紀州犬しろちゃんと申します。
返信削除明姫ちゃんの写真を載せてくれて有難うございます。面白い
お話を読ませていただきました。また遊びに来ますね。
「明姫ちゃん、いい子いい子、
返信削除真之介、明姫ちゃんて
いい子だな」
「どうしていい子だって
わかるんだ、ニコラス」
「見ろよ、真之介、
ちゃんと座って、
毎度ばかばかしいお笑いをって
言ってるぜ」
「言ってないから、
毎度はニコラスだろ。
すいません、
紀州犬しろちゃん、
コメント有り難うございます。
またと言わずに、
ぜひまたまたと来て下さい。
よろしくお願いいたします」。