江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう
今日の創作小咄#52
歌川広重 東海道五十三次 由井 由比
「ご隠居、富士山が綺麗ですなぁ」
「ああ、真之介、
薩多峠(さった峠)は
『富士山鮮やかに見えて、
東海道第一の風景となるべし』
と言われているところだ、
断崖絶壁越しの富士は実に見事だ、
のう、ニコ、ん、ニコラス、
腰が引け取るぞ」
「そうだぞ、
ニコラス、
その方は、
仮にもケンペル先生の愛弟子、
医者なのだから、
もっと医者らしく歩けよ」
「何を言うか、
真之介、
医者らしく歩くとは、
どのような歩き方ぞ」
「そりゃあ、
こう、
胸を張って、
顎を出して、
頬骨越しに見るんだ」
「頬骨越しって、
頬骨など無いぞ」
「あ、そっか、
ニコラスは
外人だったな、
じゃ、鼻越しに見ろ」
「ふーん、
こんな感じか、
これで医者に見えるか」
「どうかな、
あまり見えねぇな、
そうだ、
今度から、名前を言うときは、
『医者のニコラス』と
言えば、そりゃ医者に見えるはずだ、
でも、
どう見ても、
ヤブっぽいな、
それじゃ、
ニコラスの手に掛かったら、
助かるものも、助からないな、
あ、
わかった、
手を前で揉んでるからだ、
それじゃ
どう見ても
丁稚小僧だ」
「手を揉んでるのは寒いからだ」
「おや、
真之介、ニコラス、
そこで
うずくまっているお二人がおるぞ、
何事かであろう、
助けて上げなさい」
「はい。
あの、
そこのご婦人、
いかが致しましたか」
「はい、
ありがとうございます、
このように、
娘が急に差し込みまして」
「ああ、
それなら、
ご隠居がお持ちの
万金丹があるよって、
ご安心召され」
「はあ、それはそれは
ご親切に、
いずれのお方でございましようか」
「はい、
拙者は真之介と申します、
そして、」
「あ、
拙者は
医者のニコラスです」
「あら、
お医者様ですの、
すいません、
でしたら、是非、
娘を診ていただけませんか」
「あ、
はい、
では」
「ニコラス」
「大丈夫だ、
真之介、
医者の振りするだけだ」
「そっか、
ん-、
お、
おい、ニコラス、
な、なにやってるんだよ、
なに足でツンツクしてるんだよ」
「だって、
手にかけたら、
助かるものも
助からないだろ」
今日の創作都々逸#83
(昨日、NHKの『お好み寄席』で牧伸二さんを見ていましたら、
あれっ、都々逸もこの節で唄えるかも。ということで、
さっそく唄ってみました。)
♪
恋の別れは 事故ゆえに
別れた後も 思いは残る
会わない分だけ 綺麗になった
なかなか治らぬ 好印象
(アーアヤンナッチャッタアーアオドロイタ)
落語奮闘草さん
返信削除おはようございます。
溶射屋ブログにコメント頂きありがとうございます。
薩多峠で検索して溶射屋ブログをみていただいたのですね。
写真の件了解です。
趣味が落語とのこと・・落語を作っちゃうなんて凄いですね。
溶射屋さん、コメントありがとうございます。
返信削除なんといっても、
コメントが一番の励みになります。
今日も気がつくと朝までかかっちゃいました。
時を忘れるくらい楽しくやらせて頂いておりますのも、暖かいコメントあらばこそです。
ありがとうございます。
これからも是非、
ようしゃやない勢いで、
いらして頂ければ、嬉しいです。
千一亭本当