落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2010年10月28日木曜日

次にくるもの

①     ②     ③     ④
「甘いねぇ
人にちょいとナンか
言われるってえと 

すぐにその気に
なっちゃうんだから

ね       -①   
よく
お前さんね
考えなきゃ -②
だめだょ  -③

      -④



古今亭志ん朝さんの火焔太鼓の一場面です。

なにかの演劇の本に
「台詞とは心の動きを形として見せるもの」
とありました。

表情も同じです。
そして、表情の次に来るもの、
まあ、大仰に言い過ぎましたが、
所作です。

ただ、なぜ「次にくるもの」なのかは
写真の①から④を見て下さい。
「だめだょ」の所作の、
手を振り下ろす動きは、
③の「だめだょ」を言い終わってからの
「ょ」の後の
④で発動しています。

普通の日常での会話なら
③の「だめだょ」と同時に。
最初の「だ」の音で
手を振り下ろし始めるでしょう。

なぜ台詞、表情に遅れて
手の動きを
発動したのでしょう 。

それは
もちろん
動きをしっかり見せるために
ほかなりませんが、
そこには、
周到な配慮があると思うのです。

それは
そこで見せるものが
前述の「心の動き」ということですから、
あえて、
所作を遅れさせることで
台詞と表情とが
遅れてくる所作の上にのるように。
そして、
お客さんに意識してもらうように。

すなわち、
まさに、
心の動きを形にしようという
配慮だと思うのです。

この所作の微妙なタイムラグは
日本舞踊の頭の動きにも似て、
心情の表出として、
実に、
重要な技術だと思います。


さて、二回にわたって
落語における
非言語表現を見てきたわけですが、
次回は残るもうひとつの
非言語表現を取り上げたいと思います。

あ、明日は麹屋の日なので、
その写真とかとかになると思いますので。
ということで、
つづきは明後日に。


          

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