落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2011年1月13日木曜日

所作の芸

月曜日に稽古会がありました。
16日が本番なだけに、
熱のこもった稽古でした。
その中で、ことさら印象的だったのは
寛太さんの「時そば」でした。
実にうまい。
うまい蕎麦はうまく、
まずい蕎麦はまずく食います。
丼が重そうなのもよかった。

「所作の芸」です。
サッカーなら
「話芸」がフォワードの得点とすると、
センターバックの得点です。

見事なだけでなく、
そこに芸の深みを感じました。
落語は他の芸事と同じく修練を披露するモノですが、
他の芸事と大きく違うのは、
落語は客を取り込んで初めて出来上がる芸なのです。

その意味で、
「所作の芸」は披露するだけになりがちなのですが、
寛太さんの「そば」はきちんと客を取り込んでいました。

これが、以前、芝居の所作を入れた落語で、
客を突き放して、悦に入ってやっている

有名な落語家を最前列で見たことがあります。
ボクが芝居に無知なのが理由ですが、
どこか突き放された気分でした。
そうゆう客を少なくとも、
ボクを含めて一人以上作ってしまっては、
もはや落語とは言えまいと思ったものでした。

「いきも過ぎれば野暮になる」
まさにその言葉通りでした。

自信があればあるほど、
客を離さない「いきの量」が大切なのでしょう。

「所作の芸」は「いき」です。
だからこそ難しいと思いました。


風邪はほとんど良くなりましたが、
まだフラフラします。
今日も寒かったですね。

もしかすると、こんな季節ですから、
寛太さんの「時そば」に
もっと「寒さ」を盛り込んだら、
さらに美味しいお蕎麦になるかもしれません。

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