落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2012年1月3日火曜日

一日レモン一個


 高校では陸上部だった。中長距離だ。目標はインターハイ、1500、5000。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言うわけではなく実力が及ばなかったのだが、なんの結果も残らなかった。解りやすく言えば短距離のスパイクを履いて、100メートル12秒。もしかするともの凄い追い風だったかもしれない。ただ、結果は残らなかったが、体は残った。実によく走った。毎日毎日、日誌をつけていた。食べて出して走って眠っての記録だ。体重は48キロだった。

 第88回箱根駅伝往路5区、名前が同じということで明治大学・大江啓貴さんを応援した。早稲田大学・山本修平さんとの戦いを見ていると、陸上部の頃の、ただただそれだけだった頃の、今から思えば、あの空っぽの心持ちが蘇ってきた。そして、なんといっても、東洋大学・柏原竜二さんの見事な走りには、ランナー経験者ならずとも、誰しもきっと血が騒いだことだろう。

 柏原さんは甘いモノが好きで、我慢できなくなるとチョコレートをヒトカケかじるそうだ。でも、「その分必ず練習量を増やすんです」と後輩君のインタビューがあった。ボクはクリームあんみつだった。グラウンドからの帰りに、寄って下さいとばかりにその店はあって、しかも古っぽちい店だったので、お客はいつもほとんど居なくて、ジャージ姿でも遠慮無く入れた。ヘトヘトになったときのクリームあんみつは、正に禁断の味だった。

 一瞬、おいおい同じじゃないかと思ったが、チョコレートヒトカケと、天こ盛りのバニラアイスに濃厚な黒蜜がたっぷりかかったクリームあんみつとでは、その違いは大きい。そしてその流れがこのデンプン質の体を作り上げたのかも知れない。だから、お風呂に入るとすぐに溶けそうになる、「湯あたり上手」になっちゃった訳だ。

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