④二階座敷、翌朝、午後3時半、翌々朝
・海が白んでくる頃に目が覚めた。酔ってはいるが正気だ。昨夜は上手くいった方だろう。若い衆もおばさんも芸者達も皆俺達が派手な遊び好きの金回りの良い連中と思っただろう。
・勘定ができないからと馬を付けられて帰されたんでは、むろんこの戦は失敗だ。だからまず、三人を早くに発たせ、一人になったところで三人を待つ体を作る。勘定をして帰ったんでは、「なんだ兄イはいないのかい、じゃあ、俺達も帰ろうぜ」とせっかくの好機を逃し、大きく儲け損なうぞと引き延ばし、勘定をさらに大きくしつつ、裕福な三人の存在を強く見世に印象づける。
・若い衆の「そうでしょうけど、しょうがないんです、なんせ御内証がやかましいもんでございますから」という言葉で、よし、こいつは「三人が金を持って俺を身請けに来る」ことを信じるに違いないなと踏んで、いよいよ勘定できない事を切り出す。さあ、ここが居残りできるか、馬を付けて追い出されるかの大勝負だ。
⑤良しさんと布団部屋へ
・勝った。やったやった、居残りに成功。感動だ。後は作戦通りに粛々と進めて、上手く追い出されるようにすることだ。
・そのためには奉公人に好かれながらも、居て貰っては迷惑な存在になる必要がある。
⑥勝っつあんの座敷
-[勝っつあん]
--・「なにやってんだここは、客をほっときやがって。」と半分ヤケ酒。そんなふうにくだを巻いている所に現れた左平次に八つ当たり。しかし、左平次のヨイショに都々逸に次第にご機嫌になっていく。
「男を惚れさす男でなけりゃ、粋な年増は惚れやせぬ」。
すっかり佐平次を気に入り、重ねる都々逸に有頂天。
「芝や金杉ゃ粗末にできぬ、末は味噌漉しょ下げどころ」。
--・「なにやってんだここは、客をほっときやがって。」と半分ヤケ酒。そんなふうにくだを巻いている所に現れた左平次に八つ当たり。しかし、左平次のヨイショに都々逸に次第にご機嫌になっていく。
「男を惚れさす男でなけりゃ、粋な年増は惚れやせぬ」。
すっかり佐平次を気に入り、重ねる都々逸に有頂天。
「芝や金杉ゃ粗末にできぬ、末は味噌漉しょ下げどころ」。
(金杉は芝に隣接する町の名前、金杉11ヶ町。芝金杉と言われた。1964年(昭和39年)1月1日 - 住居表示の実施に伴い、本芝地区・芝金杉地区・芝三田四国町などをあわせて現在の芝一から五丁目が成立する。)
(「心配そうに煙管《きせる》を支《つ》いて、考えると見ればお菜《かず》の献立、●味噌漉《みそこし》で豆腐を買う後姿を見るにつけ、位牌の前へお茶湯《ちゃとう》して、合せる手を見るにつけ、咽喉《のど》を切っても、胸を裂いても、唇を破っても、分れてくれとは言えなかった。」 泉鏡花著 「湯島の境内」より)
(「しかも居候の若旦那は、まだまだ平常の不平を尽し切れず、いい若い者に●味噌漉を下げさせてわざわざ遠くの店まで豆腐を買いにやった不満なんぞをぶちまける。」 野村無名庵著 「落語通談」より)
そんなところから、この都々逸の中味を考えました。
(芝金杉の男は大切にしなきゃね、だって最後は一緒に所帯を持つ男なんだからさ)
そんなところから、この都々逸の中味を考えました。
(芝金杉の男は大切にしなきゃね、だって最後は一緒に所帯を持つ男なんだからさ)
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