⑦一階廊下
-[若い衆、二郎]
--・若い衆、良しさんに話している。左平次はよく働いて助けて貰ってるが、こっちの実入りが少なくなって困る。いい奴なんだが迷惑だ。旦那に頼んで帰してもらう事にしたと。
・狙い通り近頃は若い衆達に迷惑がられていることを感じていた。廊下で若い衆に声を掛けられたときはいつものお仕事と、上機嫌に返事をするが、旦那が呼んでると聞いて、「いよいよ追い出される時が来たか。きっと、いままでの稼ぎを取り上げられ、馬を付けて追い出されるに違いない。かねての支度通り、尻をまくって啖呵を切って、親分筋に顔が利くと脅してやるぞと勇んで御内証に乗り込む。
⑧一階奥座敷、旦那の部屋、御内証
・当初の計画はここで脅して路銀をせしめて出て行くつもりだったが、旦那の人柄に触れ本来の良心が目覚める、計略を忘れて素直に旦那に対応するうち、いつの間にか望んでいた方向に事態は展開していく。
-[旦那]
--・若い衆の手本のような働きぶりを傍から見るたび、これが息子がだったらなと思う。左平次と同い年の息子は家を飛び出したっきり行方知れずだ。
・旦那の感謝の言葉と慈悲に触れて、「お前さんのことを心配している方もいらっしゃるにちがいない。早く安心させてあげたほうがいい。」との旦那の言葉に、母を想い、旦那の姿に重なる父の面影を見て感動し落涙する。
・そして、父に甘えたい気持ちが湧いてくる。もう少しここに居ようと思い、お尋ね者だから外には出られない、もうしばらく居させて欲しいと言う。
・するとこんどは、それじゃよけい居られちゃ困ると路銀を渡され、帰らないわけにはいかないと決心し、ではと、着物をねだる。
・別れの言葉には、感謝の気持ちがこもる。
⑨旅籠を出ての辻角
・勝ち戦の快感に酔うも、敗軍の将を気遣う。
・若い衆、二郎に、旦那がいい人だと、だから大切にしろと、また、いい人にはいつかきっといいことがあるから心配するなと伝えてくれと言い、「この恩にはいつか報いたいがな、ほんと世話になったありがてえ。おっと、お前さんにも世話になったな、そうだ、お礼代わりに教えとくよ。実はな、・・・、あばよ。」と正体を明かして去る。
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