落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2014年11月7日金曜日

「野良スコ」と「水曜どうでしょう」に思う

「野良スコ」は2013年6月2日に内山勇士さんが「紙兎ロペ」の制作から離れての後、同年9月より制作しているアニメーションです。葛飾区が舞台です。現在、テレビ朝日系「musicるTV」内にて放送中の他、 2014年7月より「109シネマズ」18劇場にて「109シネマズSHORT MOVIE」として毎月新作を幕間上映中です。来月12月にはDVDの発売も予定されています。

「水曜どうでしょう」は1996年10月9日に放送を開始した北海道テレビ放送(HTB)制作のバラエティ深夜番組です。レギュラー出演者は鈴井貴之さんと大泉洋さん、ロケ同行ディレクターは藤村忠寿さんと嬉野雅道さん。基本的にこの4人が無謀な旅をしてその模様を放送する番組です。レギュラー放送は2002年9月に終了しましたが、再放送の『どうでしょうリターンズ』・『水曜どうでしょうClassic』、そしておよそ数年に1回のペースで『水曜どうでしょう』の新作が撮影・作成され、北海道での本放送開始を皮切りに順次放送されています。加えて、番組を再構成・再編集したDVD『水曜どうでしょうDVD全集』も発売されています。

・「野良スコ」の「musicるTV」の放送は今週までで26回を数えます。どれも甲乙付けがたい出来ですが、その中でも#01「バグパイプ」、#06「ペットボトル」、#09「26時」、#11「246」、#13「起床」、#19「扇風機」、#20「土日ダイヤ」、#23「待ち時間」、#24「ダメージ」、#26「ドライブ」の仲間達のエピソードには素晴らしいモノがあります。

・「水曜どうでしょう」がこれほどの支持を集めている理由は様々考えられます。企画、人柄、展開、企業努力などなど。ですが、なんといっても一番の理由は彼ら四人の「あ・うん」の関係性にあるように思えます。そんな四人と一緒に旅をしている感覚。ただただ流れる車窓の景色と笑い声。そこに失われたかもしれない、望ましい仲間達と共に居る歓びを、味わうことができるのです。

・ですが、そんな感覚を覚えるようになったのは、かなりの回数を見てからのことです。彼ら四人のことがなんとなく身近に思えてからのことでした。

・ところが、「野良スコ」の上記の仲間達のエピソードでは、そんな感覚がすんなりと味わえてしまいます。まさに素晴らしい出来と言えます。

・この違いはどこからくるのでしょう。そう、なにより、両者の大きな違いは、実写とアニメーションという点です。しかし、理由はその点だけではないように思えます。

・「野良スコ」の声は全て内山勇士さんが一人で、機械を使って音声を変えて演じ分けています。また、多重録音で、幾重にも重ねて制作されています。一方で、当たり前のことですが、「水曜どうでしょう」では四人の別々の人格が存在しています。

・「仲良し」を表現する上で、「野良スコ」の手法は、何よりも、役中人物の「あ・うん」の関係性を容易に作れる点で有利です。なぜって、お互いに自分自身なんですから、これ以上に解り合える関係性はありません。そこには二面性もありません。ですから、見ていて、「いや実はそう言っていながらも、ほんとは違うんじゃないの」などという疑問は湧きにくいわけです。

・ここで落語に目を向けてみましょう。落語も「野良スコ」と同じく、一人で関係性を創っていきます。

・そうなんです。ですから、落語は、まさに、「仲良し」を表現するのに最適な芸術なのです。これが漫才のように二人になったとたん、「仲良し」の表現をしようものなら、そこに、そこはかとなく危機感が漂ったりすることもあります。もちろん、漫才でも多人数の芝居でも、仲睦まじさをすばらしく表現しているものもありますが、その容易さといえば落語に勝るモノはないでしょう。

・ですから、なにより落語を創っていく際に、大切にしなければならないのは、役中人物達の様々な関係性のなかでも、特に、「仲良し」の関係性であると言えるのかもしれません。

・さらに高いところから落語を見わたせば、人間関係の本質は「仲良し」であると、落語は望んでいるようにも思えます。

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