シッカリ見ると
物がお客に見えてくる
お客は視線を追う
盃も
キセルも
提灯も
竿も
刀も
手拭いも
見ることで物はそこに現れる
志ん朝さんは
手拭いを
場面によっては
脇に置いて
使う時に
一度懐に入れてから
取り出す
その事について
志ん朝さんは
「大きく見せたいからです」
と仰っている
立ち姿の体で
手拭いを
座布団の脇から
懐に入れるまで
自分が見なければ
そこに
手拭いは無いものと
お客は見る
次に
懐から出した手拭いを
シッカリ見ることで
はじめて
そこに
手拭いが現れる
竿や刀のように
長いものは
端から端まで
視線を動かす事で
それは
一瞬で現れる
志ん朝さんの
そんな
「たい」の気持ちは
視線の動きにも
出ている
そんな気持ちが
伝わって
くるからきっと
こちらも
明るく温かい気持ちに
なるのだろう
「たい」は
ちょっとの向上心
いつも
今より
ちょっとだけ
よくなりたいと
願う心
言葉ばかりでなく
視線でも伝わる
そんな落語を追究したい
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