落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年7月30日木曜日

大蛇(おろち)

ドラゴンクエスト、売れてます。
このドラゴン、ドレイクとも
呼ばれていますが、
西洋の龍のことですよね。
暴れん坊で害のあるものとして
退治されちゃうんです。

それに比べ、東洋の龍は
神としてあがめられています。
中国では古来、五爪の龍といって、
指が五本ある龍は
皇帝の印とされているそうです。
たしかに、
北京へ行ったときに見た
皇帝の御座には
背から肘掛けにかけて這うように
五爪の龍が指を広げていました。
一方、奈良のお寺で見た
龍の石の彫り物などは三爪でした。

西洋では邪魔者として
排斥される龍も、
所を変えて東洋では
神様として大切にされています。

そうなんです、
ご存じでしたらごめんなさい、
龍は川の象徴なんです。

狩猟民族にとって川は
害ある物以外の物ではないんですね。
それに比べ、
農耕民族にとっては
こんな大切な物はありません。

この川が小さくなると
龍は蛇となるわけです。

ですから、ウワバミなんてのは、
どうでしょ、
大川あるいは、宮戸川くらいでしょうか。

白蛇様信仰、巳様(みいさま)信仰、
日本神話の八岐大蛇(やまたのおろち)。

田能久でウワバミが
「人間を呑む」というのも、
川にのまれることなんでしょうね。

古来より、日本では川と人とは
親戚のように共存してきたわけですから、
やはり、
痛めつけたままで終わるというのは
いただけません。

どんなにひどく氾濫しても、
よしよしと宥めて、
その後、感謝を持って
またその流れに見とれるのが
日本人の心情だと思います。

「おいおい、見たかい、田能久一座」
「みたみた、ありゃなんだい、
今度の爺さんの下手なこと、
台詞が棒読みだよなぁ」
「ああ、久部衛さんが上手いだけに
余計にひどいね」
「なんでも、元はウワバミらしいって噂だよ」

「なるほどぉ大蛇(おろち)かぃ、
じゃあ、役者はダメだ
すぐに下ろした方がいい」

「辛口だね」

「そりゃ、
相手は大根役者だ
下手に下ろしゃぁ
大根大蛇は辛くならぁ」

0 件のコメント:

コメントを投稿