落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年8月17日月曜日

動物だから

獣医になりたかった。
ほんとうにそう考えて勉強していました。
そう強く方向付けたのは一冊の本でした。
題は忘れましたが、
黄色いハードカバーの本で、
英国はヨークシャーの
獣医さんの実録でした。

そこには、様々な動物を助けた話が
のっていました。
オナラがとまらない犬がいて、
飼い主が飼えないというので、
預かって、
一人暮らしで鼻の悪い老人に
引き取ってもらった話のように、
病気を治すことよりも、
動物と共存することの
素晴らしさを訴えていました。

緑の田園が広がる世界で、
動物と幸福を分かち合えている。
私の中では英国の田舎はそんな
理想の象徴としてあるんです。
一度も行ったことがないんです。
でも、行ってみるのに臆病なのは、
そうじゃなかったんだと
思いたくないからかもしれません。

21世紀は
どんな思想家が生まれるのでしょう。
これまでの思想家達の射程には
動物としての、動物との、動物世界の
哲学を論じた仕事は見られないようです。

それはそうです、
そもそも哲学の対象が
人であるからでしょう。

ここで動物を命に代えてみると、
よりはっきりしてきます。

最近では「臓器移植法の改正」を機会に
命の哲学がなされているようですし。

見たくないところは見ない、
聞きたくないところは聞かないといった、
誰もが避けがちな、命の扱いについて、
その思想を、
基本的な姿勢を21世紀にこそ、
系統立てて論じておく
必要があると思います。

「みんな」がしあわせになれなきゃ、
自分もしあわせになれないってことは
否定できないことだと思います。
この「みんな」に
人以外の命も含めてほしいんです。

「動物だから」という言葉が
頭に付く行動の根拠を
筋道の通ったものに科学していくことが、
きっと社会をもっと豊かに、
しあわせにしていくだろうと
予感しています。

じゃ、なんで獣医にならなかったのか。
それは次回に。

今日の創作都々逸#13
♪視線合わせず うつむく仕草
こっちは甘いと 誘い水

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