落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2009年10月18日日曜日

討ち入り

今日の創作小咄#40

「池の鯉も
お腹一杯のようだな、
真之介もニコラスも、
お茶はもういいかな、
さて、
皆さん、
いよいよといったところだが、
ここで
本日の主役である
客人を紹介いたそう、
では、
教兼殿」

「ご隠居、
失礼つかまつる、
南八丁堀の在、
矢頭右衛門七教兼でござる、
(やとうよもしちのりかね)
ご隠居には
江戸にいる間、
なにかとお世話いただき、
有り難き幸せ、
皆様、
よろしく、
おたの申す」

「いやいや、
わしと、
教兼殿の父上殿とは
古い友人でな、
8月に父上殿が
亡くなられてからは、
こうして江戸にて
浪々としておられるが、
その実、
教兼殿は
弱冠17歳なれど、
元赤穂藩浅野家家臣である、
いや、
もはや、
多くを語る必要もあるまいが、
皆も存じおるように、
本懐を遂げる、
その日は近いのだ、
また、
なにぶんにも
相手方が嗅ぎ回っておるとのこと、
慎重にも慎重にということで、
本日はお母上の協力で、
内々に都々逸の会ということで
集まって貰った、
それでは、
この会の本意を
教兼殿から、
お願いいたす」

「はい、
ご隠居殿、
実は
拙者、
内蔵助殿の命を受け、
同士らが
江戸へ下る手筈を
整えるのが役目、
その折に、
ニコラス殿、
真之介殿、
お二人の
お力から
必要なのでござる、
ことさら、
ニコラス殿には
是非とも
お願いしたい義が
有り申す。
それは、
オランダ商館の
通行手形でござる。
それをもって、
出島よりの
江戸下りとして、
一行に加わって
貰いたいのだ、
よろしいかな、
ニコラス殿」

「うむ、
若輩の分際とて、
このニコラス、
オランダ人なれど、
赤穂藩士の心中、
お察しいたし、
その行動には、
常に賛同致すところ、
承知いたした。
討ち入りとあらば、
存分に働いて見せましょう、
心得ましたぞ、
教兼殿、
討ち入ればよいのだな」

「いいや、
家ち出ればよい」

今日の創作都々逸#71

用事だと
かこつけ会えば 用事を忘れ
またまた会って また忘れ
     

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