江戸の頃もきっとこんなふうに見つめられていたのでしょう
今日の創作小咄#46
「あきの色にそむれる紅葉やたてもなく ぬきもさためぬにしきなるらん」
四季江都名所 秋 海案寺紅葉
海晏寺の石碑・千一亭本当
「ニコラス、
どうだ、
日本の寺は
綺麗だろ」
「はい、ご隠居、
日本人は菊、庭、盆栽と、
手をかけて自然を楽しむものが
どうだ、
日本の寺は
綺麗だろ」
「はい、ご隠居、
日本人は菊、庭、盆栽と、
手をかけて自然を楽しむものが
好きなのだと思っておりました。
オランダでは、草花も庭も、
自然のままに楽しむのが
普通でござるよって、
このように、
木々をそのままに、
真っ赤な紅葉を
愛でる姿を見て、
日本人の懐の深さを
感じております。
わざわざ、
ゆきしなとはいえ、
この海晏寺(かいあんじ)に
オランダでは、草花も庭も、
自然のままに楽しむのが
普通でござるよって、
このように、
木々をそのままに、
真っ赤な紅葉を
愛でる姿を見て、
日本人の懐の深さを
感じております。
わざわざ、
ゆきしなとはいえ、
この海晏寺(かいあんじ)に
寄って頂きまして、
ご隠居の優しさ、
痛み入ります」
「いやいや、
ニコラス、
海晏寺がこのように、
皆に解放してくれればこそのこと、
やさしいのは海晏寺のほうだ」
「いいえ、
ご隠居、
『海晏寺るより汝(うぬ)が優し』
でござる」
「はは、
ニコラス、
まいったまいった、
おや、
真之介、
何をしておる」
「あ、いえ、
先程、女達が
紅葉を欲しいというので、
このあたりの枝がよいかと」
「あー、それはならぬぞ、真之介、
枝を折るは不殺生戒にふれること、
つつしめよ。
では、
儂(わし)は本堂に行ってくるから、
ここでニコラスと待っていなさい」
「はい、
あ、行っちゃったよ。
なあ、ニコラス、
見ろよ、
前に広がる海の青で
紅葉の赤が
引き立つなあ」
「ははは、のう、真之介、
このでかい石は何だろうな。
ご隠居の優しさ、
痛み入ります」
「いやいや、
ニコラス、
海晏寺がこのように、
皆に解放してくれればこそのこと、
やさしいのは海晏寺のほうだ」
「いいえ、
ご隠居、
『海晏寺るより汝(うぬ)が優し』
でござる」
「はは、
ニコラス、
まいったまいった、
おや、
真之介、
何をしておる」
「あ、いえ、
先程、女達が
紅葉を欲しいというので、
このあたりの枝がよいかと」
「あー、それはならぬぞ、真之介、
枝を折るは不殺生戒にふれること、
つつしめよ。
では、
儂(わし)は本堂に行ってくるから、
ここでニコラスと待っていなさい」
「はい、
あ、行っちゃったよ。
なあ、ニコラス、
見ろよ、
前に広がる海の青で
紅葉の赤が
引き立つなあ」
「ははは、のう、真之介、
このでかい石は何だろうな。
なんだかしらんが、
びっしりと字が彫り込んであるが、
びっしりと字が彫り込んであるが、
縦に読むのか横に読むのか
こう、どうにも、
難しくてさっぱりわからん。
難しくてさっぱりわからん。
これは
何と書いてあるのかのう、
さすがの真之介でも
何と書いてあるのかのう、
さすがの真之介でも
こいつは読めんだろう」
「な、
「な、
何を言うか、
わけはない、
ニコラスは、
いろいろと
書いてあると
すぐに難しいと思うのは
それは、
考えがないな。
なにゆえに、
ここに書いてあるのか。
ね、
どうしてこう、
はっきり書いているのか。
少し考えてみりゃあ、
自明の理。
じつに簡単なことだぞ、
ニコラス」
「えっ、これが簡単か、
ニコラス」
「えっ、これが簡単か、
真之介、
いったいこれは
何と書いてある」
「へン、
いったいこれは
何と書いてある」
「へン、
『枝を折るな』と書いてある」
今日の創作都々逸#77
♪
木立ていい娘も 飽き風吹けば
枝振り見事 散りにけり
今日の創作都々逸#77
♪
木立ていい娘も 飽き風吹けば
枝振り見事 散りにけり
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