落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2010年1月3日日曜日

「芝浜」の大晦日の夜

「芝浜」の大晦日の夜は雪であってほしい。

窓を開けると雪が降っているなんてえのには、
何時でもドキドキするものです。
私が北海道生まれだから、
という訳ではないと思いますが、どうでしょう。

そういえば、あれは何年前のことでしたか、
東京にも大晦日に大雪が降ったことがありました。

私にとってお正月の雪は、
洗われるような、清廉なものです。

そう、
雪はゴミや汚ればかりでなく、
雑音も消してしまいます。
いかがでしょう、
白い静かな雪の夜こそ
大晦日に相応しいと思いませんか。

そして、雪見酒と洒落込んで、
「芝浜」の清しい喜びを
雪に託して表現するなんてえのは
悪くない気がします。

私の持っている録音録画では、
「雪が降るもんかね、
笹がサラサラ触れ合ってるんだぁね」
と、たいていこう言っています。

しかし、
風が強ければ音もするでしょうが、
雪はそんなふうに音を立てません。
音がするとしたら、降り積もった雪が落ちる音です。
「バサッ」とでも表現するしかない音です。

そこで、こう創ってみました。

「おい、今、バサッって音がしたぞ。ん、なんだ、雪じゃねえよな、(障子を開ける)おい、見ろよ、綿帽子みたいになって、ほら、落ちてくるぜ、あ、(指先で框に積もった雪を取る)もうこんなに積もってる、こりゃあ明日は真っ白だ。きれえな正月になるなあ、どうだい、こう雪の中を通ってくる風なんてえものは、ひんやりと湿ってて気持ちがいいもんだ、こうゆう雪を見ながら、雪見・おっとっと、いやいや」

「え、おまえさん、雪見酒だね、呑みたいのかい」

「冗談じゃねぇや。いいんだよ、
茶、いっぺえくんねぇ」

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