「芝浜」の大晦日の夜は雪であってほしい。
窓を開けると雪が降っているなんてえのには、
何時でもドキドキするものです。
私が北海道生まれだから、
という訳ではないと思いますが、どうでしょう。
そういえば、あれは何年前のことでしたか、
東京にも大晦日に大雪が降ったことがありました。
私にとってお正月の雪は、
洗われるような、清廉なものです。
そう、
雪はゴミや汚ればかりでなく、
雑音も消してしまいます。
いかがでしょう、
白い静かな雪の夜こそ
大晦日に相応しいと思いませんか。
そして、雪見酒と洒落込んで、
「芝浜」の清しい喜びを
雪に託して表現するなんてえのは
悪くない気がします。
私の持っている録音録画では、
「雪が降るもんかね、
笹がサラサラ触れ合ってるんだぁね」
と、たいていこう言っています。
しかし、
風が強ければ音もするでしょうが、
雪はそんなふうに音を立てません。
音がするとしたら、降り積もった雪が落ちる音です。
「バサッ」とでも表現するしかない音です。
そこで、こう創ってみました。
「おい、今、バサッって音がしたぞ。ん、なんだ、雪じゃねえよな、(障子を開ける)おい、見ろよ、綿帽子みたいになって、ほら、落ちてくるぜ、あ、(指先で框に積もった雪を取る)もうこんなに積もってる、こりゃあ明日は真っ白だ。きれえな正月になるなあ、どうだい、こう雪の中を通ってくる風なんてえものは、ひんやりと湿ってて気持ちがいいもんだ、こうゆう雪を見ながら、雪見・おっとっと、いやいや」
「え、おまえさん、雪見酒だね、呑みたいのかい」
「冗談じゃねぇや。いいんだよ、
茶、いっぺえくんねぇ」
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