落語草 (千一亭志ん諒 落語ブログ)

2010年5月27日木曜日

動物園4



さて
いよいよ
明日

「動物園」をネタおろし
しようと思っています。

そこで、マクラを
考えなくては
ということで
前回「動物園3」をネタに
マクラを作ってみます。

「えー
まだすこし肌寒い
ことがございますが
だいぶ
暖かくなりました
ねえ
陽気がこう
よくなります
ってえと
いろいろと
お出かけに
なったりしますね
野に山にといったわけですが
子供達が楽しみにしている場所のしとつに
動物園があります

なんてなことを言いたいところですが
実はあたし
あんまり出かけません
もっぱらテレビとパソコンですね
でね
こないだ見てて
びっくりしたんですよ
そらあね
ライオンです
これがね
歩いてるんですよ
いやあね
歩いてることにビックリしたんじゃないんです

ライオンてね
歩くときに
こう
手をね
いや脚かな
でこの
手のひらにあたるところに
肉球ってのがあるんですよ
それをね
上にあげてから
一旦
後ろに向けてるんですね
それから
前にスッと出して

体を前に出す
いや
これはべつに当たり前なんですけどね

この時の
テンポが
1234
1234
となるんですが
これに音を付けると
ドンドンパッ
ドンドンパッ

これはエイトビートなんですよ
ロックです
ライオンはロックで歩いているんです

おっと
じゃあみんなロックじゃないか
と思うと
そうじゃないんです
馬がいるでしょ
あれはジャズなんですよ
パカラッ
パカラッ

あれは
ジャズの
ンチッチ
ンチッチ
なんですよ

ライオンはロックなんですね
だから
ロックのライブは吠えちゃう
わけですね
曲も短い
ダダダっとやっちゃう

馬はジャズですから
まあ
ジャズのライブといえば
馬が時々イナナクぐらいな
もんですね
だらだらと草をはむように
だらだら続いていくわけです

ねえ
なんだか
不思議でしょ

じゃあ
あたしたちは
どっちなの
ってえとね
これが
古くは民謡とか童謡ね
ちょつと歌ってみれば
わかります
あたしは北海道生まれなんで
なじみのソーラン節なんかだと
ヤーレン
ソーラン
ソーラン

ンータッタ
ンータッタ
ンータッタ
これってジャズです

童謡だと
なんでもいいんですが
むーすうんーで
ひーらーいーて

ンータッタ
ンータッタ
ンータッタ
です
かーらーすーも
ゆーきやこんこも
みんなジャズです

どうやらね
あたしたちは
馬と一緒のジャズの仲間らしいんですよ
草食系なんて言って
別扱いしていますが
実は
ソレこそが本来の姿なのかも
しれませんね

じゃあ
ライオンはいないのかというと

まわりを見て下さい
ライオンてなあ
かわいいですよ
しなやかでしょ
ネコのように
たおやかな
身のこなし

実に愛らしいですよ

ちょいとこう
くの字なりになったりしますよ

そうゆうのに限って
牙をむいたりするんですな

いやいや
いやいや

あの
あたしも
そんな
ちょいと
かわいいライオンに
くいつかれたいなあ
なんて思いますが」







2010年5月26日水曜日

動物園3



一句できました。

春稽古 動物園の 難しさ
ライオン舐めりゃ 喉毛絡まし

何度やってもライオンの歩きが
ゴリラになってしまうのです。

もともと攻撃的ではないほうなので
ゴリラかライオンかといわれれば
自分は明らかに
果物いっぱいのジャングルで
ゴロゴロしているゴリラです。
 芸はやはり人柄がでちゃうのかなあ。

youtubeでライオンの歩き方を
見てみましたが、
「進行方向と反対の肩を落とす」
というのとは
どうも違うようです。
なぜって、
ライオンには肩がないんですから。

ドカーンとでかい顔の下は
すぐに太い脚です。
それも足首のない足です。

それが、ゴールデンレトリーバーの子犬のように
大きすぎる体をもてあましているかのように
実にゆったり柔らかく歩きます。

とてもマネ出来るものではありません。
じつに難しい。

ただ、歩くリズムは
エイトビートで、
最初のドンドンで肉球を後ろに向けて、
次のパンでサッと前に出し、
一拍休んで、次の一歩に入っていました。
とてもいいテンポです。

ライオンはジャズかロックかというなら、
ロックですね。
馬のジャズなリズムと比べると
とてもおもしろいですね。

うーん
肉球を後ろに向けるのがコツかなあ。

どれどれ、
もう一回やってみよおっと。


2010年5月25日火曜日

動物園2



英語は
主語動詞目的語とならびます。
動詞が変化をしめすものとしますと
左から右への変化の流れに合っています。

日本語は
主語目的語動詞とならびます。
変化の流れに合っていませんね。
さらには動詞を必要としない場合もあります。

日本語は名詞の種類は多いのですが
動詞の種類には英語にはかないません。
ひとつには
「叩く」という英語は実にたくさんの種類があります。

ですから、どうやら、日本語では
動詞を扱う上で、その詳細やニュアンスを伝えるには
それだけで十分とは言えず、
またその役割も軽く扱われているような気がします。

ですから
なにか動作や変化を伝えるのには
動詞という言葉以外の情報が必要なのでしょう。

所作が落語に不可欠なのは
そういった日本語の持つ特質にも
理由があるように思います。

では
また
動物園のライオンの歩き方の練習です。
これなんか
日本語が動作を表現するのに
いかに不自由なものかが
よく解る例かもしれません。
「進行方向の反対の肩を落とす」
って言われてもねえ。

じゃ、もう一回。

2010年5月24日月曜日

動物園

今週は「動物園」という話をやっています。
2代目 桂文之助作とされているもので
新作の香りがするものです。

この話、前半は単調になりがちです。
大きく間を取るところを決めなくっちゃと
思っていますが。

今、ドラムの練習でシャッフルというのを
やっています。
これは跳ねるリズムで、
ジャズのセカンドラインというのを叩いたり、
速いテンポのロックをやったりしています。
マルーン5なんかです。
ところがこのシャッフルの感じを話にのせていくと、
単調なものがいい調子になるようです。
つまりは、このシャッフルとは
中抜きのリズムのことなんですが、
最初と最後にアクセントを置くんです。
すると、最後最初、間、最後最初、間
となるわけですが、
これが地の語りをするときなど
とってもいい。

というわけで

もう一回やって寝ましょう。

2010年5月15日土曜日

船徳 2

船徳を15分にできないかと。
8代目桂文楽、黒門町の師匠の船徳を
聞いてみますと20分。
ん、これは出来るかもしれないと
でも、3代目古今亭志ん朝師匠の船徳の
見得を切ったり、唄ったりは
入れたいところ。

どうやらひとつのエピソードに2分という感じなので、
7つのエピソードに落ちという構成で
15分 というところ。
マクラ、前半3つ、後半3つ、落ち
という構成かな。

おっと
15分も短いが
時間が経つのはどうしてこんなに
早いんだ、
おやおやもうこんな時間です

♪光陰矢のごとしということばがあるけど、
あれはどうゆうことかといいますと

光陰というのは
矢のごとしだなあ
ということなんだそうで

なんてぇいいましてね
志ん朝さんがよく
まくらでつかっていたなあ
ワクワクしながら聞いたことがありました

ずいぶんとたったのかも
しれませんが
もう志ん朝さんの
お顔を拝見することは
できないんですね

2010年5月14日金曜日

船徳

今日、井戸の茶碗15分を20人ほどに
聞いてもらいました。
まくらは書き下ろしてみました。

さらに研究課題が増えました。

後に、掛けて頂いたお声は
「志ん諒さんの井戸茶でしたよ」
とかとか、どれも嬉しいものばかりでした。

皆さんの温かい応援に包まれて、
ほんとうに、有り難かったです。
そして、こりゃあキチンとやらなきゃ、
という気持ちがまたまた湧いてきました。

でも、ここで敢えて、
井戸の茶碗から離れて、
船徳の稽古に入ります。

憎めない若旦那をどうやるか、
若旦那の気持ちの移り変わりを
整理してみます。

川面が見えてくるような
そんな船徳にしたいものです。

ではまずは
本寸法で40分、
始めます。

2010年5月13日木曜日

井戸の茶碗 6




さてさて
井戸の茶碗もかなり
ピカピカしてきました。

今、問題は休む場所です。
どこで間を取るのかということです。

で、思ったのですが、
喋っている間は
息を出しているのですから、
間は息を吸うはず。

お客さんと呼吸を合わせるためには
この吸うことが要点かもしれません。

しっかり吸う。
六代目三遊亭円生さんは息を吸うときに
わざとと思えるくらいに
息を吸う音がします。
お鼻を患われていたとのことですから
その影響もあったのかもしれませんが、
それより、
今吸っているンだというタイミングを
お客さんに知ってもらうことで、
お客さんとの呼吸を合わせることに
役立てていたのではなかったのかと
思いました。

しっかり息を吸って
やってみたいと思います。

では最初から。

2010年5月12日水曜日

井戸の茶碗 5




今日は井戸の茶碗のペースを考えてみました。

0.まくら

1.千代田卜斎宅

2.細川様の御窓下
3 清正公様境内の茶屋

4.細川様の御窓下

5.千代田卜斎宅-高木作左衛門宅-千代田卜斎宅
6.大家さんが千代田卜斎宅へ

7.殿御前

8.高木作左衛門宅
9.千代田卜斎宅
10.高木作左衛門宅

0、23、56で上げていき、
1と4と7で休み、
89そして10と一気に突っ走る。
特に7はじっくりとためる。

一気に走ると14分。
残った1分を
147に15秒、15秒、30秒さらに加えて、
じっくりやってみよう。
ではさっそく。

2010年5月11日火曜日

井戸の茶碗 4




「ワシはな、
あの仏像を売ってしまった。
一旦手放してしまえば、
それはシトのものだ。
自分のモノではない、
買ったシトのモノだ。
その中から出て来たモノは
買った人のモノだ。
ワシは受け取るわけにはまいらん。
先方へ戻しなさい」

井戸の茶碗の魅力は
その言葉ひとつひとつが
「うん、たしかに」
と頷けることです。

そして、頷きながら、
そこはかとなく
ここちよい
可笑しさの香りが
してくるところです。

なにか明るい、
なにかいい心持ちを
予感させます。
講談に通じるものです。

そもそも
この噺の源は講談にあるようです。
しかし、
ソレを落語にしているところは
どこなのでしょうか。
つまりは、
講談のように説教臭くなって
しまわないようにするために
どこをどうしているのでしょうか。

いろいろとあるとは思いますが、
自分でしゃべつていて思うのは、
屑屋さんが物語の柱というところと、
その屑屋さんから見た二人の
頑固者の姿を描いているところかもしれません。

そこでは、屑屋さんが、自分の意見を
押し切られても、屑屋さんにとっての
不条理に反発することなく、
受け入れていくあたりに、
落語らしさがあるのではないかと思うんです。

そして、その先に、素敵なことがやってくる。
落語はそういった、
何ものかが報われる世界を描くことで、
聞いていだだける方に
カタルシスを感じてもらえることが
出来るのかもしれません。

ですから、
しゃべるときは
努めて、お侍の側からではなく
屑屋さんの側からの光を
強く当ててお話を
組み立てていきたいと思っています。

最後の高木作左衛門の笑顔は
清兵衛さんの笑顔を受けてのもの
そこに清兵衛さんの笑顔までも
感じてもらえられるように
できたらいいなあと
思っています。

2010年5月10日月曜日

井戸の茶碗 3

「士魂 」という言葉があることを
知りました。
武士の精神のことだそうで、
江戸の頃には町人達にも
「士魂」というような
心持ちが広がっていたそうで。
なるほど、
井戸の茶碗の清兵衛さんからは
「士魂」のようなものを
感じ取ることが出来ます。

今ではもう
成ることの出来ない
武士というもの、
男子として生まれたからには
一度は、この「士魂」のようなものに
立って、誇らしい気分に
浸りたいと思います。

そんな思いが自分の中にあることを
わずかな時間ですが、この井戸の茶碗は
教えてくれます。
また
清潔に過ごしたいという誰しもの夢を
わずかな時間ですが、この井戸の茶碗は
かなえてくれます。

だからこそ、なおのこと、さらさら、
自分では不十分です。
まあ、それだから、もしかすると
美談の講談にならずに
どちらかといえば
落語に近いものになっているかな
と思っています。

2010年5月9日日曜日

井戸の茶碗 2

井戸の茶碗の清兵衛さんは
正直です。
何に正直なのかと
整理してみると、

まず、
かわいそうと思った
千代田卜斎さんと
娘さんの助けになりたかった。
そして、
立派な心がけと思った
高木作左衛門の思いを
全うさせてあげたかった。
その自分の思いに正直なんです。

そこには清兵衛さん自身の、

「あたしなんぞに頭なんぞ
さげんでくだせえ」

「ボロ儲けは嫌いでして」

という在りようがあります。
自分はこれでいいんだという
強い自己が見えます。

「いいや、ちげえます、
そらちげえますで」

と侍に向かってきっぱりと
宣言できるのも
その在りようがあるからだと思います。

そこで思うのですが、
ではなぜ高木作左衛門に対面したときに

「いえ、高木様、それはご自身で
お持ちいだだきとう存じます」

と言わないのか、
売ったことに対しての責任感からなのか、

しかし、大金のこと、
屑屋さんにはその金に対して
それこそ何かあったときの責任を
とれないことは、
清兵衛さん本人がよく知っているはず。

思慮深い清兵衛さんの最善の選択は
おそらく

「では、おそれながら、
これより千代田卜斎様のところまで
ご案内させて頂きます」

ではあるまいか。
と思いは膨らみますね。

実にいいお話です。
人物それぞれの背景が
ぱぁーっと広がってきます。
その背景をいかに話から
感じ取って貰えるか、
それがこの話の楽しみだと
思っています。

夜も更けましたが
もう一回やってみますね。

2010年5月8日土曜日

井戸の茶碗

大変ご無沙汰いたしまして
申し訳なく、
幾たびも来られた方にはまことに
ひらにひらにお詫びいたします。

落語はもちろん続けておりまして、
実はこつこつやっておりました。

2月は明烏
3月は百年目
4月は井戸の茶碗
ついでにみそ豆
そして5月、今は
井戸の茶碗を15分位で
やろうとしています。

今悩んでいるのは
屑屋さんの声です。
さっき思いついたのですが
一番高い声というのはどうかなと、
地語りを標準としてです
それよりちょっと高い声で
高木作左衛門、千代田卜斎の娘、
アキンド仲間1
それよりちょっと低い声で
大家さん、アキンド仲間2
一番低い声で
千代田卜斎、良介
でやってみようかなと

さてさて
どうなりますか

いまのところ18分くらいまで
もってきました。

これ以上削りたくないので
時間はもうこれくらいで
よいかなと思っています。

さてさて
それでは
もう一度やって寝ます。
おやすみなさい。